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東京電力再生の虚実 検証 震災5年、日本の電力[前編]

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4月に持ち株会社化および発送電分離が実施される東京電力。「責任と競争」を柱とする再建計画に基づき、厳しい現実を乗り越えて福島への責任を果たせるか。東電再建を検証する。

10年後の関東地方。「新電力」と呼ばれる新規参入企業が次々と最新鋭の火力発電所を稼働させた結果、東京電力では小売子会社の販売電力量が現在より10%以上も落ち込んだ。そのあおりで火力発電所の稼働率も8%低下。結果、東電は競争激化のさなかに料金値上げに追い込まれかけている──。

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1月4日の幹部社員を前にした年頭あいさつで、東電の數土文夫会長は「遠くない将来への懸念」としてそんな近未来のシナリオに言及した。そのうえで「今までの延長線上では困難な状況を打開できない」と社員に一層の奮起を促した。

足元の業績自体は好調だ。史上空前ともいえる原油やLNG(液化天然ガス)の価格下落が起きた結果、2016年3月期連結経常利益が過去最高を更新する可能性が高まっている。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)市場では収益力の持ち直しから東電のリスクプレミアムが大幅に縮小。東電をウォッチし続けてきたBNPパリバ証券の中空麻奈投資調査本部長は、「政府による確固たるサポートがあるうえに“神風”が吹いた。規模の利益も維持しており、ストロングバイのスタンスは変わらない」と話す。

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