今から2年後の2018年、米国テキサス州フリーポートの基地からLNG(液化天然ガス)の輸出が始まる。大阪ガスと合わせた年間約440万トンの契約量のうち、半分を受け入れるのが東京電力と中部電力の合弁会社JERA(ジェラ)だ。今年7月に東電・中電両社から燃料調達および海外火力発電事業を譲り受けて業容を拡大する同社にとって、フリーポートからの調達は最も重要なプロジェクトの一つだ。
米国からのLNG調達で硬直的な市場に風穴
もともと中電と大ガスが進めてきたフリーポートプロジェクトには二つの大きな狙いがあった。一つは調達先の多様化だ。これまで東南アジアや中東に偏ってきた主要調達先に、シェールガス革命で輸出国に転じた米国が加わる。
もう一つはLNGの価格形成の多様化だ。東南アジア産や中東産など従来のLNGが原油価格に連動する方式だったのに対して、「ヘンリーハブ」と呼ばれる米国産天然ガスの指標価格は、米国内での天然ガスそのものの需給によって決まる。「原油連動でない指標を導入することが重要だった」と、中電の燃料部長時代からフリーポートプロジェクトに深くかかわってきたJERAの垣見祐二社長は解説する。
フリーポートからの購入には、通常のLNG取引とは異なり仕向地制限がないという特徴もある。これにより原油価格にリンクした国内LNG価格が相対的に高い場合には日本に出荷し、差が小さい場合は輸送費などを考慮して他地域で販売できる。日本での需要が原子力発電所の再稼働などにより当初の計画時と比べて少なくなった場合も同様だ。
こうした柔軟なオペレーションができるのは、トレーディング機能や輸送船団を持つJERA特有の「自前主義」(垣見社長)によるところが大きい。購入は自前で用意したLNG輸送船を活用するFOB(本船渡し値段)契約による。リスクを自社で負うFOB船の運行管理では東電にノウハウがあった。
2月10日、JERAは30年度を目標とした事業計画を発表した(表1)。柱の一つが燃料事業だ。LNG取り扱い規模では16年度の事業統合当初から、韓国ガス公社と並んで世界最大のバイヤーになる。30年度も取り扱い規模は3000万~4000万トンと大きく変わらないが、中身は一変する。現在は長期契約が主体だが、今後は半分以上を、スポット契約などを含む柔軟なポートフォリオに組み替えていく。
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JERAは国内外の発電事業(国内は新設・リプレース)を合わせた30年度の純利益を2800億円と見込む。東電を母体にした事業の中でも最も高い成長が期待される。






















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