出会ったばかりのその社長は自社のカジュアル衣料で全身を包み、1秒の時間さえ惜しむように立ち食いそばをかき込む。「この仕組みを作れば、アパレルに革命を起こせるんだ」。静かで謙虚な語り口と内容のギャップが新鮮だった。
「この人の下で修業して、いつか自分でやる商売を決めよう」。玉塚元一がそう決心したのは、1998年のことである。仕える相手はユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正。まだ山口県宇部市に本社を置く新興アパレル会社のトップにすぎなかった。
柳井と玉塚を引き合わせた男がいる。当時ユニクロで幹部に登用されていた澤田貴司である。玉塚入社をめぐっては「澤田君の売り込みがものすごかった」と柳井は振り返る。
伊藤忠商事の商社マンであった澤田が商談で知り合ったのが、旭硝子に勤めていた玉塚だった。大学ラグビーで活躍した玉塚は取引先の間でもよく知られていた。「こいつがうわさに聞く玉塚か。それにしても、さわやかでかっこいいやつだ」。玉塚から受けた第一印象であった。
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