2016年、国内政治は5月に重要な局面を迎える。安倍晋三首相が二つの難しい政治判断を行うからだ。
一つは衆院を解散して、7月に予定されている参院選と同時に総選挙を行うかどうか。もう一つは、15年10月から17年4月に先送りした消費税率の8%から10%への引き上げを実施するか否かだ。
現在、永田町で取りざたされている衆参ダブル選挙。参院選での自民党優位は揺るがず、政界の関心は総選挙になっている。改選対象の参院議員の任期満了は7月25日。1月4日という異例の早期召集となる通常国会は、会期末は150日後の6月1日となる。憲法の規定上、総選挙は「解散の日から40日以内」に実施される。
そこで、直前の5月26、27日の伊勢志摩サミットで「世界の安倍」をアピールして政権を浮揚させたうえで、会期末に衆院を解散、7月10日投開票に持ち込むというシナリオが浮上している。
衆参ダブル選挙の可能性が指摘されるようになったのは11月28日、自民党の佐藤勉国対委員長が秋田県で行った講演で「16年ダブル選挙があるかもしれない」と述べたのがきっかけだ。しかし、これはあくまでも消費税の再増税時の軽減税率をめぐって対立している公明党への牽制が目的。消費税再増税の前後の衆院選では、有権者の反発を買うことから、実施が難しいとの見方が優勢だった。
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