GMS撤退戦が始まる イトーヨーカ堂は40店閉店へ
首都圏総合スーパー(GMS)の雄、イトーヨーカ堂が大量閉店を決めた。「GMSの時代は終わった」。流通業界の定説がいよいよ現実局面へ移ってきた。
「GMS(総合スーパー)はもう浮上しないのではないか」。セブン&アイグループ会社の元役員はため息を漏らす。
GMSは日本の流通業の中核を担ってきたが、コンビニエンスストアや専門店の台頭で、年々その影は薄くなっていた(図1)。出店ペースの抑制や既存店の活性化という防御策でしのいできたGMSが、事実上の「撤退戦」の局面へ移行するのかどうか。その意味で、今注目を集めているのが、イトーヨーカ堂だ。
ヨーカ堂は100年近い歴史を誇り、GMSのトップに君臨してきた。その同社が今後5年間で全店舗180店の2割に当たる40店を閉鎖することを決めたのである。
セブン–イレブン・ジャパンを抱える、セブン&アイ・ホールディングス(HD)のアキレス腱はヨーカ堂である。2015年度上半期でHDは過去最高の営業利益を3年連続で更新したが、その中でヨーカ堂は90億円の営業赤字に転落していた。
上期の赤字は5年ぶりのことだ。衣料品の在庫をさばくためのセールで採算が悪化したことや、約20店で実施した食品売り場の改装に伴う経費のかさんだことが響いた。HDの村田紀敏社長は、「消費者が価格に敏感になっているのに、優位性を出せていなかった」「(過去にもいろいろやってきたが)まだまだ改革が進んでいない」と肩を落とす。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待