その日の東京は朝から冷たい雨がしとしとと降り続いていた。しかし、9月25日の早稲田大学・大隈記念講堂は、「カリスマ経営者」の姿を一目見ようと、1000人を超える学生たちの人いきれがしていた。
「日産自動車の経営者はなぜ、(自らの手で)日産を再生することができなかったのでしょうか」 「人間力」をテーマにしたパネルセッションに登壇した日産の社長、カルロス・ゴーンに、ある男子学生がそんな質問を投げかけた。
日産がフランスのルノーと資本提携したのは1999年。20歳前後の学生たちからすれば、ゴーンが日産で振るった「再生請負人」としての辣腕ぶりは、もはやはるか過去の話にすぎないのかもしれない。
「(当時の日産は)危機的状況で混乱が生じていて、優先順位をつけて物事を整理できなかった」 子どもの頃、教師になるのが夢だったというゴーンは、生徒に教え諭すかのように当時を振り返った。
日産は90年代に販売不振に陥り、財務体質が悪化。2兆円を超える有利子負債を抱え、ルノーに助けを求めた。提携後、日産に送り込まれたのが、当時ルノーの上席副社長だったゴーンだ。
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