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共産党超エリートの失墜 ネットに追い詰められた

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胡錦濤・前国家主席の側近で将来を嘱望された超エリートが失脚。きっかけは、息子の不始末を隠そうと指揮下の兵士を動かしたことだった。

汚職容疑で取り調べ中であることが公表された令計画氏。一時は最高指導部入りが確実視されていた(Getty Images)

中国共産党において、最高幹部の秘書役である中央弁公庁主任(中弁主任)というポストの重さには格別のものがある。トップである総書記の側近中の側近が就くのが慣例で、趙紫陽時代の温家宝、江沢民時代の曽慶紅ともにそうだ。

胡錦濤政権の令計画もしかりだった。「温と曽が後に首相と国家副主席になったことから、令も未来の最高指導部入りが濃厚と考えられた人材でした」(国務院OB)。

だが、令は習近平指導部成立を控えた2012年9月には格下の党中央統一戦線工作部部長に左遷され、昨年12月22日には汚職容疑で取り調べ中であることが公表された。周永康・元党中央政治局常務委員に続く大物の「落馬」(失脚)だ。

「党の中枢神経」とも呼ばれる中弁主任は、中南海を守護する親衛隊である中央警衛団の指揮権も持つ。令が問題視されたのはこの中央警衛団を独断で使ったとの疑惑だ。

「一つは、12年3月に失脚した薄煕来・元重慶市党委員会書記の身柄を押さえるのに出動させたこと。そしてもう一つが息子の交通事故現場に派遣したこと」(北京の夕刊紙記者)とされる。だが、前者の場合、文化大革命中の劉少奇・元国家主席の放逐から四人組追い落としまで同様の例は多数あり、いずれも中弁主任が後に処分されたという話は聞こえてこない。つまり、交通事故の問題こそ事の本質ということだ。

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