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東京一極集中が加速。無策では破綻の一途 五輪後に地方自治体が減る?

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慶応義塾大学商学部教授 ● 樋口美雄
ひぐち・よしお●1952年生まれ。慶応義塾大学商学部卒。91年同教授。2009年同学部長。12年日本経済学会会長。13年厚生労働省労働政策審議会会長。(撮影:梅谷秀司)

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人口の増減は、一般に二つの要因で決まる。一つは自然増減で、生まれる子どもの数から亡くなる人の数を引いたものだ。もう一つは社会増減で、地域間の人口の流出入の差で決まる。国レベルでは、全体の人口に比べ国家間の移動は少なく、重要になるのは自然増減だ。

子どもの9割以上は20~30代の女性から生まれるから、その年齢層の女性の数と出生率の掛け合わせで出生数はほぼ決まる。最近では2005年に合計特殊出生率が過去最低の1.26に下がったが、その後わずかながら上昇し、13年には1.43に上がった。しかし20~30代の女性の数は減少し、1年間に生まれてくる子どもの数は減少を続けている。第1次、第2次ベビーブームはあったが、第3次はなかったからだ。

一方で死亡数はどうか。死亡率は大きく変化しないとしても、高齢者の数は当面増えていく。1学年270万人もいた「団塊の世代」がすでに65歳を過ぎ、徐々に死亡率の高い年齢に差しかかっていく。政府の人口推計によると、20~30年には年間死亡数は約140万~160万人なのに対し、生まれてくる子どもの数は90万~80万人であるから、人口は毎年50万~80万人減っていく。

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