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無理やり回復させた自信は五輪後に喪失 五輪後を読む

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[Interview]社会学者 大澤真幸

おおさわ・まさち●1958年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。千葉大学助教授、京都大学大学院教授を歴任。思想誌『大澤真幸THINKING「O」』を刊行中。(撮影:尾形文繁)

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私は戦後の歴史を3段階に分けてみている。理想の時代、虚構の時代、不可能性の時代。これは大体25年サイクルだ。戦後の始まり1945年から70年までが理想の時代、70年からオウム事件があった95年ぐらいまでが虚構の時代。その後が閉塞感の強い、不可能性の時代に入っているというイメージである。最初の25年の理想に対し、現在は不可能というだけでもそうとう暗い時代。その不可能性の時代に入った95年から25年後の2020年が次の東京オリンピックの年に当たる。

不可能性の時代は、社会にとっても人生にとっても目指すべき理想が見えなくなっていて、その度合いがどんどん深まっている時代。理想を持てないということは、自分自身を肯定できない自信喪失とセットだ。そういう状態の中でオリンピックの招致が決まったことで、かろうじて目標とか、自分を肯定することができるきっかけができた。失われた理想のところに20年の東京オリンピックの招致決定が無理やり入り込んで、日本は自己肯定感と目標を両方得られた格好である。

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