22年度に廃止へ「教員免許更新制」の気になる行方 異論はないが、働き方改革とセットでの声多数

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荒瀬克己(あらせ・かつみ)
独立行政法人教職員支援機構 理事長
京都市立高等学校国語科教員、京都市教育委員会指導主事を経て、京都市立堀川高等学校教頭、同校校長。堀川高校在職時には、独自のアイデアで「課題探究型の学習」を導入し「探究科」を設立。探究科の1期生が卒業した2002年、国公立大学への現役合格者数を前年の6人から106人に増やし「堀川の奇跡」として注目された。その後、京都市教育委員会教育企画監、大谷大学文学部教授、兵庫教育大学理事、関西国際大学教授・学長補佐などを務め21年より現職。中央教育審議会初等中等教育分科会会長として、「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)」(21年1月)において、「一人一人の子供を主語にする学校教育」の実現についての方策を取りまとめる
(撮影:梅谷秀司)

新しい制度では、ある期間内に何時間かの研修を受けなければならないといった縛りは設けない予定だという。それぞれの教師が、興味があることや必要に応じて、時に校長や教育委員会などと対話を持ちながら、自ら学んでいくイメージだ。そのための学習コンテンツを集めたプラットフォームをつくり、テーマ別、レベル別に体系的かつ計画的に学べるようにする。「免許更新制がなくなることで、教員の質をどう担保するのか」という声には、荒瀬氏自身の経験を交えながらこう答える。

「もともと教員は、勉強が好きなのです。そうでなければ教員にはならないでしょう。そもそも研修は、更新時の講習だけではありません。私は典型的な『でもしか先生』でしたが、それでもいざ先生になると勉強をしました。生徒たちを目の前にして、自分の使命とは何か、考えざるをえないのです。当時は研修がありませんでしたが、同僚の先生と議論したり、一緒に勉強したりしていました。環境を整えることで教員も学ぶ意欲が湧いてくる。それが結果的に、質の高い子どもの教育につながってくるのです」

まずは、学びたいという気持ちの受け皿を整備しようということだろう。そもそもこれまで更新時の講習は「場所が近いから」という理由で選ぶことが多く、近隣の大学を中心に探したものの受講したいものはいっぱいで申し込みを締め切っていたということも少なくなかった。オンラインで学べる環境も整えることで、自身の現状、そして将来像に合わせてキャリア形成に生かしてもらおうというわけだ。

研修受講履歴の管理と有効活用へ

こうして受講した研修履歴は一覧で見ることができるようにもなる。そうなると、これまで更新講習の受講漏れがないように促してきた校長や副校長などの管理職、各学校や教員の研修を企画してきた教育委員会などの役割も変わってくる。

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