アフターGIGA、端末活用で「学び方」を学べの真意 紙と鉛筆で学んだ世代の再生産はできない

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とくに高校の先生たちの認識は大きく変わると思います。大学では1年生でAIやデータサイエンスを学ばなくてはなりませんが、高校時代にあまり「情報」を学んでこなかった子たちは授業についていくのが難しかったり、ICTの不適切な利用に走ったりといった困った状況が起こっています。

小中学校でのICTを活用した学びの経験が、高校の「情報」で再整理されることで情報社会の仕組みや技術が理解できるようになり、大学の入試科目として取り組むことになるという流れ。さらに言うと、高校で「情報」に興味を持った子たちが大学の専攻でコンピューターサイエンスやテクノロジーを選び、Society5.0の社会で活躍する社会人になるという、高大接続という話にもつながるということの重要性を、先生たちにしっかり認識していただきたいと思います。

――​GIGAスクール2年目で、先生たちはどう自己改革をしていけばいいのでしょうか。

いちばん大事なのは、教育現場に立つ先生たちが経済や産業、法律など世の中で起きていることにもっと興味を持つことです。なぜなら時代が変わり、先生たちが子どもだった頃に受けてきた教育と、今の子どもたちが受けなければいけない教育は別物になってしまったからです。

ずっと上向きだった日本という国が、近年下向きの、何とかこらえなければいけない状況に陥っています。少子化で若い世代の一人ひとりの生産性を上げなければ世の中が回らなくなる、高齢者が働けるような職場をテクノロジーを使って用意しなければならない、そんな時代がもう始まっていて、これからますます加速していきます。

日本人のまじめさ、知識などは世界で通用すると思いますが、それがデジタルに乗らない限り役に立ちません。今、教師という職を得ている人たちの多くが、学校という居心地のいい場所で感動的な体験をしたことで先生になったのだと思います。しかし、紙と鉛筆で学んできた自分たち世代を、今後もそっくりそのまま再生産するわけにはいきません。その自覚を持つためにも、ぜひ学校の外に目を向け、世の中がどうなっているのか、これからどうなっていくのかに関心を持ってほしいですね。

堀田龍也(ほりた・たつや)
東北大学大学院情報科学研究科 教授、東京学芸大学大学院教育学研究科 教授
1964年熊本県生まれ。86年に東京学芸大学教育学部を卒業し、87年に東京都公立小学校の教諭として勤務。2009年東京工業大学より博士(工学)授与。文部科学省参与、玉川大学教職大学院教授などを経て、14年より現職。中央教育審議会・委員、文部科学省情報活用能力調査に関する協力者会議・主査、同デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議・座長、同教育データの利活用に関する有識者会議・座長、内閣官房教育再生実行会議初等中等教育WG・有識者などを歴任

(文:田中弘美、写真:尾形文繁)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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