茨城県の「校長公募」に1673人が殺到した納得理由 たった5名の募集、どんな人材が集まったのか

3年で新しい中高一貫校を10校も開校
公立の中高一貫校が増えている。1998年に文部科学省が学校教育法の一部を改正して以来、公立でも設置ができるようになったことから一気に全国に広がった。その目的は、中等教育のいっそうの多様化にあるが、私立と比べて経済的負担が少ないことや、比較的短期間で対策ができる適正検査による入試であること、何より高校受験がなく、6年間を通して一貫した教育が受けられることから保護者の人気を集めている。
今、この中高一貫校を、ものすごい勢いで増やしているのが茨城県だ。
中高一貫校には、1つの学校として一体的に中高一貫教育を行う「中等教育学校」、同一の設置者が高等学校の入学者選抜を行わずに中学校と高校を接続する「併設型」、異なる中学校と高校が連携して(市町村立中学校と都道府県立高等学校など)中高一貫教育を行う「連携型」の3つのタイプがある。
もともと茨城県には、中等教育学校の並木、古河と、併設型の日立第一の3つの中高一貫校があったが、2020年度に太田第一、鉾田第一、鹿島、竜ヶ崎第一、下館第一、21年度に水戸第一、土浦第一、勝田を一貫化(勝田のみ中等教育学校、そのほかは併設型)。来年22年度には水海道第一、下妻第一を開校し、計13校にまで中高一貫校を増やす※。
その理由について、茨城県教育庁は「かなりの成果が出ているから」と話す。中高一貫校に対する根強い保護者ニーズはもとより、6年間を通して計画的かつ継続的に探究活動に取り組むことができるなど課題解決能力が育っているほか、進学実績が大きく伸びているという。そこで、県全体をカバーできるように多くの中高一貫校を開設してきたのだ。
21年は、県下トップの高校を中高一貫化したが、志願倍率は水戸第一で4.53倍、土浦第一で3.29倍の高倍率となった。ほかにも並木や竜ヶ崎第一など、人口が多いところを中心に倍率が高くなっている。茨城県は、東京に近く企業誘致が盛んな土地柄だ。そうした転入者の子息のほか、今後はより学校ごとの特色を出しながら他県からの受験ニーズも取り込みたいという。
※ほかに連携型の小瀬があるが、茨城県教育庁は県内の「中高一貫教育校」の数には入れていない
民間の転職サイトに「校長公募」を掲載
茨城県が、こうした大胆な施策に打って出るのは、少子化に対する危機感がある。子どもの数が少なくなり、学校の小規模化が進むと活力が失われてしまう。そこで「県立高等学校改革プラン」を策定し、学校の再編も含めた多様で魅力ある学校づくりに努める中で、県立高校の中高一貫教育校への改編も進めてきた。