偏差値も倍率も急上昇「広尾小石川」人気の秘密 広尾学園の姉妹校、昨年は都内最多の出願者数

また現在はコロナ禍のため実現できていないが、ランチタイムに生徒や教員が弁当を手に自由に集まり、英語のみでコミュニケーションを取ることができるエリアも設ける予定だという。
「生徒に対しては、教員も常々『一人ひとりの多様な個性を認めよう』というメッセージを発信しています。教室も1つの社会ですから、そこにはいろいろな性格や資質の生徒が在籍しています。自分の優れた部分については強みとして磨いていきながら、相手のよいところをちゃんと認め、尊重していける。教室ではそうした関係づくりを大切にしています」(高橋氏)
さらに同校では、多様な世界に触れさせることを目的に、生徒たちを学外へと連れ出すことも大切にしている。
例えば、同校の近隣に、アジア圏からの留学生が数多く寄宿しているアジア文化会館という学生寮がある。同校ではアジア文化会館と交流し、生徒が留学生に日本語を教えたり、逆に留学生から現地の文化を学んだりする活動を行っている。
また同じ文京区内の男子学生寮・和敬塾とも連携。和敬塾は場所柄、東大生や早大生、また留学生が数多く暮らしている。彼らから大学での教育・研究生活や、将来の夢についての話を聞くことは、生徒が自らの未来に思いをはせる貴重な機会となるはずだ。
奥田氏は「学校内外でのさまざまな活動の中で、生徒たちに失敗も経験させたい」とも語る。大人の目から見れば「そのまま続けても、きっとうまくいかないよ」とわかることでも、致命傷にならない範囲であれば、あえて声をかけずにずっと見守る。すると生徒は失敗を通じて、そこからいくつものことを学び、人間的に成長していく。
難関大学合格を実現するための“目に見える学力”と、さまざまな人との関わりや失敗体験を通じて培われていく“目に見えない学力”。広尾小石川では、その両方の学力を伸ばす教育を実践しようとしている。
(文:長谷川 敦、写真:すべて広尾小石川提供)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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