偏差値も倍率も急上昇「広尾小石川」人気の秘密 広尾学園の姉妹校、昨年は都内最多の出願者数

これに加えて広尾小石川では、英語力の育成に力を注ぐ。とくにインターナショナルコースのAGでは、国語や一部の社会科の授業を除き、外国人教員がオンリーイングリッシュで授業を実施。ちなみにAGに入学してきた生徒のほぼ全員が、海外大学への進学を希望している。ただし1年生の学年責任者の高橋祥久氏は、「生徒たちが国内大学への進学を希望した場合にも対応できるように、数学などの各科目について本科コースとカリキュラムや授業進度をそろえています。同じ内容の授業を英語で受けるか、日本語で受けるかの違いだけです」と話す。
一方SGについては、授業の多くは日本語で行われるが、前述したようにAGの生徒たちと同じクラスで学校生活を送り、また外国人教員と日本人教員のダブル担任制となっているため、英語に触れる機会は数多い。

実は、こうした「インターナショナルコースの設置」や「英語教育の充実」「デジタルツールを用いた先端的な授業」といった特徴は、そのまま姉妹校である広尾学園の特徴でもある。「広尾学園の生徒たちのように成長してもらいたいという思いから、本校の教育の方向性やカリキュラムについても、それにそろえたいと考えました」(奥田氏)。
広尾小石川では開校に当たって、広尾学園から14名の教員が異動してきた。このうち7名は、広尾学園のインターナショナルコースで教壇に立っていた外国人教員である。同校では広尾学園で培ってきた教育手法や人的資源を移入することによって、新設校でありながら、高い教育レベルの実現を図ろうとしているわけだ。
多様な世界に触れさせ、世界で活躍できる力を育んでいく
奥田氏は、「本校が目指しているのは、将来世界で活躍できる人材を育てること」だと話す。「そのためには自分とは異なるバックグラウンドや価値観を持っている人たちと、一緒に活動するという経験を積み重ねることで、多様性を受容し、また幅広い視点で物事を見る力を養っていくことが大切だと考えています」と語る。
その点、海外滞在経験のある生徒が数多く在籍している同校は、生徒たちが多様な価値観に触れ、視野を広げていくうえで、最適な環境にあるといえる。
広尾小石川には、誰もが自由に弾くことができるピアノが1台置かれているという。最初にこのピアノの前に座って演奏を始めたのは、AGの生徒たち。それが今では休み時間になると、SGや本科コースの生徒たちもピアノの周りに集まり、代わる代わる演奏するようになった。廊下のピアノが、本科とインターナショナルコースの生徒たちの関係を深める場となっている。