学校批判は的外れ「ブラック校則」なくならない訳 ルールメイカー育成プロジェクトの可能性
そこで浮き彫りになったのが、そもそもブラック校則とされている校則が、先生の善意や保護者の願い、社会からの要請でできたということだった。例えば、そもそも「ツーブロック禁止」という校則ができたのは、就職面接の際に「ツーブロックだとだらしない」と見られるかもしれないという思いから出来上がった。しかし、実際はどうなのだろうか。保護者にはアンケート、企業にはヒアリングを実施しようと生徒側は提案。その結果、「むしろツーブロックは清潔感がある」という声が多数だったことを受け、最終的に校則が変更されることになったという。
「そこで生徒たちが得たことは、1つの視点からのみで考えることや、結論を出してはいけないという気づきでした。物事を考えていくには複数の視点が必要であり、そうでなければ本当の正しさは見つけられないということです。先生たちからは、主体的に発言する生徒が増えたという嬉しい声も挙がりました。最近の生徒たちはSNSの影響もあるのか、自分のことを表現するのに不安に思う傾向があり、今回校則を考えることで生徒たちが成長するきっかけにもつながったそうです」
「校則作り」は社会の縮図でもある
今も全国の学校で残るブラック校則。時代遅れと社会から批判される中で、生徒たちだけでなく、先生たちからも校則を見直していく動きがある。これから、校則を見直し、主体的に全員が学校と関わっていく、学校で先生や生徒、保護者との議論の場をつくっていくためには何が必要なのだろうか。
「生徒たち一人ひとりが自分の内なる声に耳を傾け、こうしたいと思ったときに初めて他者とぶつかることになります。それが社会を生きていくということなのです。そのとき、お互いの意見をすり合わせたり、納得できたりする答えを導き出す力が必要になります。いわば、社会を生きていくためには、ルールメイキングという考え方が重要になってくるのです。私たちが闘っているのはブラック校則ではなく、私たちの思い込みの可能性もあります。その思い込みが対話によって変わっていく。その対話の経験を積んでいくことが何よりも大切だと考えています」
現在、カタリバでは「ルールメイカー育成プロジェクト」において、各自治体の教育委員会とも連携を図ろうとしている。希望があればアソシエイト校として教材やノウハウの提供を受けることも可能となっている。――どうせ変えられない。それはあなたの思い込みかもしれない。興味のある方々はぜひ参考にしてほしい。
(注記のない写真はiStock)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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