自作自演か?”三井生命報道”の怪

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「三井生命を傘下に」「三井住友銀行。来春めど」--5月2日、突然の大見出しが日本経済新聞紙面の一面に踊った。2004年4月に三井生命が株式会社に転換、その際3000億円の資本のうち、三井住友銀行が普通株や優先株の形で四割程度引き受ける方向で調整しているというのがその内容だ。しかし、三井住友銀の出資分のうち普通株と優先株の内訳は未定の上で株式会社化する方針自体はかねて周知の内容。「ほとんど新事実がないのになぜトップ記事になるのか」と当の三井生命関係者も訝しがる。
 そのため記事の背景を巡って様々な憶測が飛び交った。関係者の一部でささやかれるのは三井生命サイドが自作自演で”リーク”したとの説だ。基金利息や団体保険の配当断念に追い込まれた朝日生命と異なり、三井生命は基金利息や団体保険の配当原資を確保している。ただ、「実態はどっちもどっち」というのがもっぱらの評判。それでも朝日ばかりに目がいくのは、東京海上との統合がとん挫し、つっかえ棒を失ったからだ。
 しかし、考えようによっては、基金利息・配当という外部流出を抑えた朝日の方が、財務的には三井よりもプラスに働いた面もある(ただしその額は大きくはないが)。決算発表を機に株価がさらに突っ込む事態があれば、再び三井に厳しい視線が向けられる可能性があった。
 決算発表を前に、信用補完装置としての三井住友銀の存在を改めて想起させようと、三井生命が”リーク”したのだろうか--。報道のあった5月2日夜、三井住友銀の西川善文頭取は自宅前に集まった記者に対し「何も話さん」と言い捨て玄関に入った。「報道内容にかなり怒っていた」(三井住友銀関係者)。そう簡単にコトが進む雰囲気ではなさそうだ。
【大西冨士男記者】(5月22日発売『月刊金融ビジネス』7月号)


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事