目標は立てないで、心を柔らかく保つ
長期的な目標を立てるのが苦手だという廣津留さん。1年後の目標ですら、あまり決めることはないという。先の目標を立てても、その時には時代遅れな発想になっている可能性があるからだという。
「何か面白そうなことが降ってきたときに、心に余裕がないと取り組めないですよね。昔、バイオリンの先生に言われた言葉で印象に残っているものが2つあって、『自分がやらないと、誰かがやる』『誰が見ているかはわからないから、つねに120%でやれ』というものです。自分がやらなかったら、それは誰かの手に渡ってしまう。これから花開くかもしれなかったチャンスを逃してしまうかもしれない。私が大学3年生の時、たまたま演奏を聴きに来ていたディレクターの目に留まってヨーヨー・マと共演することができたのも、その言葉が心にあったからなんです」
目標は立てないが、やりたいことはたくさんある。
「自分が恵まれた学習環境にいたので、伝えられることを、次の世代に伝えていきたいんです」と語る瞳はまっすぐだ。
「傍観しているだけでは駄目なんです。こうして公の場で発言する自分の姿を見せることでエンパワーメントして、女性でも積極的に意見することが当たり前だという世界にしたい。子どもたちがやりたいことを思い切りできるようにしたい。それが普通の世界になるように、そう強く願って、これからも私ができることをしていきます」

バイオリニスト。Smilee Entertainment社 CEO。1993年大分市生まれ。小中高まで地元の公立校に通い、2012年米ハーバード大学に現役合格、16年に首席で卒業。ジュリアード音楽院の修士課程に進学。18年に首席で卒業後、ニューヨークで起業。バイオリニストとしてヨーヨー・マとの共演や、ゲーム『ファイナル・ファンタジー』シリーズのサウンドトラック録音など、ジャンルを超えて幅広く活躍。13年、大分で開催するハーバード大学生による英語プログラム「Summer in JAPAN」を共同設立。著書に『私がハーバードで学んだ世界最高の「考える力」』(ダイヤモンド社)、『ハーバード・ジュリアードを 首席卒業した私の「超・独学術」』(KADOKAWA)ほか。テレビ朝日「羽鳥慎一 モーニングショー」にコメンテーターとして出演中。演奏、執筆、教育、作曲など多方面に事業を展開。ニューヨーク在住
(注記のない写真は今井康一撮影)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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