ICT教育とは?知っておきたい基礎知識 メリット・デメリットと事例に学ぶ成功の秘訣

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新型コロナウイルスの感染拡大により、全国的な休校措置が取られた2020年。休校中でもオンラインで授業が可能なICT(情報通信技術)を活用した教育にさらに注目が集まりました。

学校教育以外を見渡してもIoTやAI、ロボティクス、ビッグデータといったテクノロジーによって社会のあり方そのものが変わり始めています。

こうした中、次代を担う子どもたちには、情報を主体的に選択し活用していくための「情報活用能力」をはじめ言語能力や数学的思考力など、これからの時代を生きていくうえで基盤となる資質・能力を確実に身に付けることが求められるようになっています。その育成に必要な ICT環境を整え、それらを適切に活用した学びを実現していくことが不可欠になっているのです。

本稿では、日本が進めているICT教育に関する基礎知識や、導入に当たってのメリットとデメリット、日本また世界各国の事例をピックアップしながら、今後ICT教育を導入する際のポイントについて解説します。

ICT教育とは

ICT教育とは、一言で言えば「教育のデジタル化」であり、パソコンや電子黒板、インターネットなどの情報通信技術を活用した教育のことです。

ここでは、ICT教育を以下の3つの項目に分けて解説します。

・ICT教育の目的
・ICT教育に対する文部科学省の役割と取り組み
・日本におけるICT教育

 

それぞれの項目について1つずつ見ていきます。

ICT教育の目的

文部科学省(以下、文科省)では、学校教育分野の情報化推進のため、さまざまな取り組みを実施しています。「教育の情報化」とは、情報通信技術の特徴を生かして、

①子どもたちの情報活用能力を育成する情報教育
②ICTを活用した教科指導
③校務の情報化

を通して教育の質向上を目指すものです。

その実現を支える基盤となるのがICTであり、ICT教育です。文科省は「もはや学校の ICT 環境は、その導入が学習に効果的であるかどうかを議論する段階ではなく、鉛筆やノート等の文房具と同様に教育現場において不可欠なものとなっていることを強く認識する必要がある」としています。

参考:新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ) 文部科学省
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/06/24/1418387_02.pdf

ICTの目覚ましい発展による技術革新の加速や、グローバル化の進展といった変化の激しい社会を生き抜くには、ICTを道具として情報を収集、判断し、解決する能力が不可欠になっているからです。

こうした「情報活用能力」が、2020年度からスタートした新学習指導要領で言語能力と同様に「学習の基盤となる資質・能力」として位置づけられました。

「世の中の様々な事象を情報とその結び付きとして捉え、情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して、問題を発見・解決したり自分の考えを形成したりしていくために必要な資質・能力」である情報活用能力を伸ばすには、ICT教育が欠かせません。

参考:教育の情報化の手引き-追補版-(令和2年6月)第2章 文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/20200608-mxt_jogai01-000003284_003.pdf

 

ICT教育の目的は、従来の学校教育を補強する形で基礎的、基本的な知識・技能を習得させるとともに思考力・判断力・表現力などを育成して、主体的かつ他者と協働して問題解決に取り組む力を養うことにあります。

またICT教育によって、多様な子どもたちに最適な学びを実現することが可能になるとともに、各端末から得られるさまざまな情報を生かしたさらなる教育の質の向上や、政策に反映することなども期待されています。

関連記事:
小学生1人1台PC時代に学校は何を教えていくか 日本で「学校のICT整備」が進まない構造的原因

 

ICT教育に対する文部科学省の役割と取り組み

文科省は、学校のICT環境整備に向けた働きかけを行うほか、ICT教育が各階層の教育に展開するよう情報発信および指針を出しています。

まず小学校では、児童がコンピューターや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ、コンピューターで文字を入力したりファイルを保存するなどの基本的な操作、インターネットの閲覧やメールの送受信、情報モラルを身に付け、テクノロジーを適切に活用できるようにするための学習活動が主な焦点になっています。

次に中学校では、小学校で学んだ基本的な情報活用、情報モラルの実践力を土台に、より主体的かつ積極的な活用能力の向上を目指しています。コンピューターだけでなくモバイル端末の操作方法や目的に応じたソフトの選択、機能拡張などの応用力をはじめ、データの収集・加工や傾向分析など基礎的な統計の能力、音声や動画ファイルの加工、表やグラフを作成してレポートにまとめて自分の考えを表現するなど、より幅広い能力の向上に言及しています。

また情報教育を推進するために、20年度に小学校におけるプログラミング教育を必修化、21年度には中学校の技術・家庭科でプログラミング教育を拡充、22年度には高校でプログラミングなどを学ぶ「情報 I 」が必修となります。

この高校の「情報 I 」ではプログラミングのほか、プログラムを作成するうえで必要なアルゴリズムの考え方やその表現の仕方、コンピューターやネットワークの仕組み、ネットワーク(情報セキュリティーを含む)やデータベースの基礎などについて、すべての生徒が学習することになっています。

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