記事の目次
ICT教育とは
ICT教育のメリットと期待できる効果
ICT教育のデメリットと課題
ICT教育が抱える「格差問題」
ICT教育先進国の事例紹介
ICT教育を導入するためのポイント
まとめ

ICT教育とは

ICT教育とは、一言で言えば「教育のデジタル化」であり、パソコンや電子黒板、インターネットなどの情報通信技術を活用した教育のことです。

ここでは、ICT教育を以下の3つの項目に分けて解説します。

・ICT教育の目的
・ICT教育に対する文部科学省の役割と取り組み
・日本におけるICT教育

 

それぞれの項目について1つずつ見ていきます。

ICT教育の目的

文部科学省(以下、文科省)では、学校教育分野の情報化推進のため、さまざまな取り組みを実施しています。「教育の情報化」とは、情報通信技術の特徴を生かして、

①子どもたちの情報活用能力を育成する情報教育
②ICTを活用した教科指導
③校務の情報化

を通して教育の質向上を目指すものです。

その実現を支える基盤となるのがICTであり、ICT教育です。文科省は「もはや学校の ICT 環境は、その導入が学習に効果的であるかどうかを議論する段階ではなく、鉛筆やノート等の文房具と同様に教育現場において不可欠なものとなっていることを強く認識する必要がある」としています。

参考:新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ) 文部科学省
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/06/24/1418387_02.pdf

ICTの目覚ましい発展による技術革新の加速や、グローバル化の進展といった変化の激しい社会を生き抜くには、ICTを道具として情報を収集、判断し、解決する能力が不可欠になっているからです。

こうした「情報活用能力」が、2020年度からスタートした新学習指導要領で言語能力と同様に「学習の基盤となる資質・能力」として位置づけられました。

「世の中の様々な事象を情報とその結び付きとして捉え、情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して、問題を発見・解決したり自分の考えを形成したりしていくために必要な資質・能力」である情報活用能力を伸ばすには、ICT教育が欠かせません。

参考:教育の情報化の手引き-追補版-(令和2年6月)第2章 文部科学省
https://www.mext.go.jp/content/20200608-mxt_jogai01-000003284_003.pdf

 

ICT教育の目的は、従来の学校教育を補強する形で基礎的、基本的な知識・技能を習得させるとともに思考力・判断力・表現力などを育成して、主体的かつ他者と協働して問題解決に取り組む力を養うことにあります。

またICT教育によって、多様な子どもたちに最適な学びを実現することが可能になるとともに、各端末から得られるさまざまな情報を生かしたさらなる教育の質の向上や、政策に反映することなども期待されています。

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ICT教育に対する文部科学省の役割と取り組み

文科省は、学校のICT環境整備に向けた働きかけを行うほか、ICT教育が各階層の教育に展開するよう情報発信および指針を出しています。

まず小学校では、児童がコンピューターや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ、コンピューターで文字を入力したりファイルを保存するなどの基本的な操作、インターネットの閲覧やメールの送受信、情報モラルを身に付け、テクノロジーを適切に活用できるようにするための学習活動が主な焦点になっています。

次に中学校では、小学校で学んだ基本的な情報活用、情報モラルの実践力を土台に、より主体的かつ積極的な活用能力の向上を目指しています。コンピューターだけでなくモバイル端末の操作方法や目的に応じたソフトの選択、機能拡張などの応用力をはじめ、データの収集・加工や傾向分析など基礎的な統計の能力、音声や動画ファイルの加工、表やグラフを作成してレポートにまとめて自分の考えを表現するなど、より幅広い能力の向上に言及しています。

また情報教育を推進するために、20年度に小学校におけるプログラミング教育を必修化、21年度には中学校の技術・家庭科でプログラミング教育を拡充、22年度には高校でプログラミングなどを学ぶ「情報 I 」が必修となります。

この高校の「情報 I 」ではプログラミングのほか、プログラムを作成するうえで必要なアルゴリズムの考え方やその表現の仕方、コンピューターやネットワークの仕組み、ネットワーク(情報セキュリティーを含む)やデータベースの基礎などについて、すべての生徒が学習することになっています。

こうした方針の浸透を図るため、文科省のWebサイトをはじめ、Twitter・YouTube・ニコニコ動画などでの情報発信、またICT教育の実践事例の共有なども行われています。

 

日本におけるICT教育

それでは実際の教育現場で、ICT教育はどのように計画・実行されているのでしょうか。海外との比較や国内の先進事例を交えて、実情を見ていきましょう。

<現状>

日本の教育におけるICTの活用度を知るには、OECD(経済協力開発機構)が15歳を対象に3年ごとに行っている国際的な学習到達度調査「PISA」が1つの参考になります。

18年に行われたPISAでは、日本は読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野についてOECD加盟国の中でトップレベルだったものの、学校の授業でデジタル機器を利用する時間が最下位でした。

人工知能やビッグデータといった技術がさらに高度化する「Society 5.0」の社会を迎えるに当たり、学校のICT環境の整備、活用は極めて重要な局面にきていますが、海外と比較して日本のICT教育にはまだまだ課題があると言わざるをえません。

文科省は19年、小学校の児童、中学校の生徒1人に1台端末と、全国の学校に高速大容量の通信ネットワークなどを整備する5カ年計画「GIGAスクール構想」を発表しました。ICT教育を進めるうえで欠かせない環境整備をいっそう進める計画であり、多様な子どもたちに最適化された学びを実現するものとして注目されています。

この「GIGAスクール構想」にある「1人1台端末」の整備が、新型コロナウイルスの感染拡大による休校の影響で、3年前倒して進められており21年3月にはほとんどの学校で完了する見込みとなっています。

<取り組み事例>

次に、日本においてICT教育で先進的な取り組みを行っている自治体として、茨城県つくば市の事例を紹介します。

40年前から義務教育にICTを導入しているつくば市では、小学校の児童、中学校の生徒1人に1台の端末をいち早く整備する「つくば市GIGAスクール構想」を推進しています。

学校と自宅での学習の「継ぎ目」をなくすことを目的にした「シームレス教育」を掲げ、児童・生徒は与えられた端末を自宅に持ち帰り学習ができるよう、環境が整備されています。

自分専用の端末を支給された児童・生徒は、学習進捗の確認や、プロジェクト型学習における情報の記録・保存・発表資料の作成などを個々に行うことができ、主体的な学びを促進するツールとしてICTを役立てています。

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<今後>

「GIGAスクール構想」の対象になっていない高校においても、独自の財源やBYOD(Bring Your Own Device/個人所有のデバイス利用)などにより「1人1台端末」を整備する自治体があるほか、文科省も高校生を持つ低所得世帯への端末購入費用を支援する方針を打ち出しています。

また今後は、ICT環境が整備され、いかに活用していくのかが課題となってきます。とくにICTは技術の進歩が速く、専門的な知識・ノウハウが必要なため、外部人材の活用によってICTの定着と活用をよりスピーディーかつ効果的に進めることもポイントとなるでしょう。

情報化の統括責任者であるCIO(Chief Information Officer)を置く民間企業が増えていますが、このCIOを学校や教育委員会に設置するとともに、教員の授業支援などを行う人材として「ICT支援員」の積極的な活用を文科省が推進しています。

教育においてもICT教育に関する外部人材の登用、協力を得ることは、今後の大きな流れの1つになるかもしれません。

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ICT教育のメリットと期待できる効果

現時点では、国内でもまだ普及・発展の余地があるICT教育ですが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。多くの要素を挙げることができますが、主に期待できる効果は以下の3つです。

・個別最適な学びを実現できる
・主体的・対話的で深い学びを促す
・いつでもどこでも必要な機器さえあれば授業が継続できる

 

個別最適な学びを実現できる

ICT教育を取り入れることの1つ目のメリットは、児童・生徒が自分に合った方法やペースで繰り返し学習ができることと、教員が児童・生徒1人ひとりの定着の度合いをより的確に把握し、最適な指導ができることです。

 

従来の繰り返し学習といえば、ドリルや問題集など、知識の定着には重要であるものの、画一的な教材しか選択肢がありませんでした。

児童・生徒が個々に取り組むドリルにデジタル教材を活用すると、教員は1人ひとりの達成度や正答率などを把握することができ、より充実した学習指導を行うことが可能となります。また、個々で異なる得意・不得意に合わせた問題に取り組むことができます。

 

主体的・対話的で深い学びを促す

ICT教育では、教科の学習内容や学習対象に対して関心を持ち、進んでそれらを調べようという興味を深めることが可能です。

例えば、何かの概念などについて学ぶとき、教科書にある挿絵を一斉に見ることでイメージの共有をするのではなく、写真や映像を教室のスクリーンや各自のパソコンで見ることで、イメージをより膨らませたり、理解を促したりすることができます。

より身近でリアリティーのある教材を使った学習は児童・生徒に驚きや感動を与え、それをきっかけに、自分の気になったことを重点的に調べていくことができるのもICT教育のよい点です。それぞれが主体的に興味のあることを掘り下げるとともに、見いだした情報を活用しながら他者と協働して学びを深めていくことができます。

また、チャットなどを活用することで教員と児童・生徒間で非同期型のコミュニケーションができるなど、新しい学習の進め方が実現できます。

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いつでもどこでも機材さえあれば授業が継続できる

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年3月に全国の小中学校に対し、日本の学校教育史上例のない一斉休校の要請が行われました。すべての授業が一時ストップし、児童・生徒や保護者に学習についての不安を生じさせたり、実際に学習の進行が遅れ、授業時間を確保するため夏休みの短縮や学校行事を中止したりする学校が相次ぐこととなりました。

こうした際にも、ICT教育を取り入れることで、自宅にいながら遠隔授業を受けることができるのはもちろん、学校での学びを自宅に持ち帰り復習するといった、通学と自宅学習による学習レベルの向上を図ることにも役立ちます。

また専門家による授業や、ほかの学校との合同授業、不登校児童・生徒の支援などを遠隔教育で行うことも可能です。

 

ICT教育のデメリットと課題

反対に、ICT教育を取り入れることのデメリットと課題は以下の3つです。

・機器導入と運用のための費用がかかる
・機器の故障や保守管理などにより教員に負担がかかる
・児童・生徒の健康に留意する必要がある

 

機器導入と運用のための費用がかかる

「GIGAスクール構想」以前も、国は学校のICT整備計画で目標を設定し、3クラスに1クラス分程度の端末配備を目標に市町村に対して地方財政措置を講じてきました。

しかし、用途が限定されない財政措置だったことで思うように整備が進まなかったために、「GIGAスクール構想」では用途を限定した補助金の交付によってICT環境の整備を進めることにしました。「1人1台端末」の導入には1人当たり最大4.5万円、校内LAN整備の費用のうち2分の1が補助されます。

しかし、「GIGAスクール構想」による整備完了後も、端末などの保守管理、更新の費用が発生するため、その負担をどこが担うのか議論が続いています。

 

機器の故障や保守管理などにより教員に負担がかかる

ICT機器には故障や保守管理がつきものです。

すべての教員がこれらの機器に強いわけではなく、また故障の原因がわからなかったりすれば対処にも時間がかかり、教員の労働時間を圧迫したり心理的な負担につながったりする可能性があります。

ICTの知見を持つ教員の育成や外部の専門人材、またICT機器を提供する企業などを活用しながら、そうした状況に対処できる体制を学校と教育委員会が連携して築いていくことが求められます。

 

児童・生徒の健康に留意する必要がある

「1人1台端末」が整備されると、授業中だけでなく休み時間や放課後などの授業外、自宅でもICT機器を使用することが想定されます。ドライアイや視力の低下、姿勢の悪化などに加え、電磁波による身体影響、ストレス、睡眠の質低下、認知機能の低下など、健康面への影響を懸念する声があります。

こうした懸念に対して、エビデンスを持って対応してく必要があるものの、児童・生徒の健康問題に留意してICTを活用していくことが大切です。

ICT教育が抱える「格差問題」

ICT教育は、日本国内においても都道府県あるいは市区町村によって取り組みの現状に差があり、次に挙げるような格差が実際に存在しています。

・ICT教育環境の格差
・機器利用の制限による格差
・教員のICT活用指導力の不足による格差

 

ICT教育環境の格差

ICT教育には環境の整備が不可欠になっているのに対し、自治体間の格差がますます広がっています。

文科省は、毎年「学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」を公表しています。例えば、普通教室の無線LAN整備率は、19年度末時点では、全国平均が48.9%、1位が徳島県(75.9%)、最下位が新潟県(19.5%)です。また、大型提示装置の整備率は、1位が佐賀県(92.0%)、最下位が秋田県(17.5%)となっています。

現時点では住む都道府県によってICT機器の整備には大きな格差があるといえます。

 

機器利用の制限による格差

学校で貸与されたICT機器を自宅に持ち帰ってもよいというルールにするかどうかという議論があります。

機器は学校の所有物であり、あくまで学習のために貸与をしているため、自宅で自分がインターネットを楽しむために使う道具ではありませんし、盗難・紛失・ウイルス感染などのリスクも高まります。

そういった観点から自宅への持ち帰りを禁止している自治体も多くあります。

しかし逆に、持ち帰りができない場合、自宅にICT環境が整っている生徒と整っていない生徒で、ICTに触れる機会に大きな差が出てしまう、という点も指摘されています。

 

教員のICT活用指導力の不足による格差

ICT教育は子どもたちの学習への興味・関心を高め、わかりやすい授業を実現するうえで効果的であり、文科省はそれを支える教員のICT活用指導力の向上に取り組んでいますが、授業にICTを活用したり、児童・生徒のICT活用を指導する力などに自信がない教員が一定数存在するという調査結果もあります。

指導教員によって、児童・生徒のICT教育の浸透に格差が生じる可能性もあり、文科省では今後とも教員のICT活用指導力の向上を図るとしています。

 

ICT教育先進国の事例紹介

ここでは、ICT教育における“先進国”の事例についても紹介します。

エストニア

ICT教育先進国の事例の1つ目は、エストニアです。

ビデオ会議ツールの先駆けともいえるSkype(スカイプ)が生まれた国でもあり、多くのスタートアップ企業を輩出するエストニアは、国民ID制度を早くから導入するなど、行政サービスの電子化が進んだIT先進国として知られています。

そんなエストニアでは、ICT教育も進んでいます。2000年までに1人1台端末体制、01年までにすべての学校にインターネットを整備し、11年にはデジタル教科書を導入、12年にはプログラミング教育を開始しています。

エストニアのICT教育で重要な役割を担っているのがHITSA(Hariduse Infotehnoloogia Sihtasutus)というNPOです。学校で使用する教材の研究や開発を手がけるほか、教員の研修なども担っています。

PISA2018では、エストニアが読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの成績で世界トップクラスに躍り出たことで、ICT教育の効果を実証するものとして世界で注目を浴びています。

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シンガポール

シンガポールでは、97年に策定されたICT教育マスタープランのもと、ICT教育の環境整備が進められてきました。その中でモデル校を認定し、先進的なICT活用に取り組むとともに、ベストプラクティスの共有なども行われてきました。

02年には子どもの家族構成などの基本情報、出欠記録、成績などを一元的に管理する「学校コックピットシステム」が導入されました。またシンガポールのほとんどの学校には、子どもの学習状況を管理するLMS(Learning Management System)が導入されており、授業や家庭学習などで利用されています。

こうしたICT環境を利用して、シンガポールでは「在宅オンライン学習の日」を以前から設けてオンライン学習の訓練をしていたため、コロナ禍のロックダウン措置下にあっても学校教育に大きな混乱はありませんでした。

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米国

米国のICT教育事情は、州によって異なります。教育行政が、政府ではなく各州に委ねられているからです。

しかし、政府が教育政策に関与しないというわけではなく、教育格差の解消や優れた教育の普及拡大などは、政府を中心に行うこともあります。09年に大統領に就任したオバマ政権下では、ICT教育の環境整備によるICTインフラ格差の解消やSTEM教育の推進など教育改革が行われました。15年には、義務教育における必要科目としてコンピューターサイエンスが位置づけられました。

州によって状況に違いはありますが、「1人1台端末」やインターネットなどの通信環境整備をはじめ、BYODの活用やプログラミング教育の実施、教育データの活用など、ICT教育を進めていくうえで日本が学ぶべきところも多いでしょう。

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ICT教育を導入するためのポイント

ICT教育を導入するためのポイントは以下の3つです。

・事例に学ぶ
・ICT支援員など文科省の制度を活用、外部人材の活用
・ICT教育を導入することで実現可能な未来のビジョンを明確に持つ

 

事例に学ぶ

日本のICT教育は、海外に比べて後れを取っているといわれますが、教育にICTを導入して、すでに40年以上が経過する自治体もあります。

今ではICTを教育に活用した成功事例がかなり集まってきており、自身の学校でICT教育を取り入れることになった場合は事例を検証してから計画を進めたり、担当者から実際に話を聞くことも可能になっています。

さらに導入後は、自校のICT教育の導入過程・活用事例・結果を共有することで、日本全体のICT教育のレベルが上がることにつながります。

 

ICT支援員など文科省の制度を活用、外部人材の活用

ICT教育を導入するに当たり、専門家から支援を得ることも1つの選択肢です。

文科省では、ICTを活用した教育の推進計画やICT機器整備計画の策定等について助言を行うアドバイザーを派遣する「ICT活用教育アドバイザー派遣事業」を実施しています。同じく総務省でも、ICTやデータ活用を通じた地域課題の解決に精通した専門家を地方公共団体等に派遣する「地域情報化アドバイザー派遣制度」があります。

すでにいくつかのICT教育導入に取り組んできた外部のアドバイザーからの指導は有効かつ効果的だといえます。

 

ICT教育を導入することで実現可能な未来のビジョンを明確に持つ

ICT教育を導入するに当たり、どんな子どもたちを育てたいのか、どのような力をつけてもらいたいのか、そのためには何が必要なのかといったビジョンを明確にすることが大切です。

国の方針に従ってただ漫然と導入するだけでは、十分な効果を得ることが難しくなります。

しっかりとした目的を持ってICTを教育に導入し、児童・生徒の未来を応援できるような活用が望まれます。

 

まとめ

世界的に見ればまだ十分とはいえないものの、この記事で紹介したように日本国内でも確実にICT教育が浸透してきているというのが現在の状況です。

具体的な計画・方法論だけでなく、導入に当たって直面する課題、その解決手法など、包括的にICT教育について理解しておくことで、ICT教育によって得られる本来の効果を享受できるようになります。

コロナ禍で盛り上がったオンライン授業をはじめとするICT教育は、次代を担う子どもたちに必要な能力を養うだけでなく、これからの学校教育が目指す1人ひとりの児童・生徒に寄り添った個別最適な学びの実現の強固な基盤となっていくことでしょう。

(写真:iStock)