今、子どもが「ディベート教育」を学ぶべき理由 「⽴論グランプリ2020」、トップ校の熱い戦い
こうした“立論”やディベートを学校の授業に徹底させることで、藤川氏はこれからの教育にどのような効果を生み出したいと考えているのだろうか。
「端的に言えば、答えのない問題について、自分自身で考えられるようになり、他者ともコミュニケーションを取れるようになってほしいということです。しかし、いまだ、そうした能力を身に付けるための教育が多くの学校では実践されていません。その結果として、学校的なコミュニケーションが、多くの人にとって今の社会を生きづらくさせているのです。お互いが違う考えを持っており、互いに異なる考えを前提として話し合う。それには人の話を丁寧に聞くことが必要です。これからまさに問題解決力が社会で求められる中で、立論やディベートを通して、新たな道を切り開くための能力を身に付けてほしいと思っています」
そう語る藤川氏は、毎年のディベート大会を通じて、子どもたちの成長も感じるという。
「昔と比べて、参加する子どもたちの能力は各段に上がっています。ディベート教育の成果が多少とも出ていると思われるのは、従来であれば大きな声を出して強調することでディベートをした気になっていたものが、今ではロジカルに根拠と主張を関連づけて、きちんとデータで裏付けをし、相手の発言を丁寧に聞き、分析して自分の主張を深めることができるようになった。少なくとも『ディベート甲子園』や『立論グランプリ』に参加するような子どもたちはこうした能力が随所で発揮されるようになっていると考えています」
昨年は中止となった「ディベート甲子園」だが、今年の開催については新型コロナウイルスの状況次第ではあるが、前向きに開催を検討していきたいと語る藤川氏。これからの日本の教育を担う教職員に対しては、どのような期待を持っているのだろうか。
「異質な者同士が話し合い、問題解決ができるような教育を実現してほしいと思っています。その意味で、ディベートは言葉を使う能力を高めるトレーニングとしてぜひ活用してほしいですね。近年ますます教育におけるディベートの重要性が広く認められるようになっている中で、これからもディベートに取り組みたいという先生方や生徒の皆さんと一緒に、日本の教育をよりよいものに変えていきたいと考えています」
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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