「進学校と真逆を行く」三田国際が人気の理由 偏差値や進学実績追わない教育の成果はいかに

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高校には、将来の進路希望別に「本科コース」のほか、海外大学を目指す「インターナショナルコース」や先端研究・医科系志望の「メディカルサイエンステクノロジーコース」がある。いずれも基本的な5つのスキルの習得が前提となっており、すべての学びの基盤になっているのがICTだ。

三田国際が校内にWi-Fiを完備し、すべての生徒にiPadを配布したのが2016年だ。現在、全国の公立校でGIGAスクール構想の下ICT導入が進められていることを考えれば、同校の動きは驚くほど速い。

毎年、学習進路指導部が中心となって、段階的にプログラミング、教科横断、探究学習、STEAM教育など、テーマの範囲を拡大しながら教職員研修を行ってきた。実際の授業をどうiPadに落とし込むのかなど、速さを重視して取り組んできたという。

「私たちがICT活用で大事にしていることは、6~7割の完成度でスタートさせ、残りの3~4割は翌年度にブラッシュアップするということです。最初から完璧を目指さない。そんな心構えでいます。ほかより一歩早く取り組んで、試行錯誤を繰り返して、ノウハウを確立するように努めています。おかげさまでコロナ禍でも混乱することなく、オンラインで授業を継続することができました」(城野氏)

一方、生徒にはICT活用のガイドブック『BUILD BOOK』を配布。タブレットの使用方法やアクセス制限など学校独自のルールやオンライン上でのマナーなどを提示し、トラブルを防ぐ対策を取っている。

さらにICT活用と規制ゼロを目的に活動を行う「BUILD委員会」を設置。学習方法の意見交換やICT使用に関するルール、モラルについて生徒自らが問題を提起し、改善策を実行しているという。こうした取り組みが、生徒たちのICTリテラシーを高める効果を果たしている。

こうして今年度、2015年から試みた新たな教育をトータルで学んだ生徒たちが卒業する。今井氏は、せんだって行われた推薦入試の結果に十分な手応えを感じていると話す。

「彼らは大きく成長し、自分で問題を解決するスキルを身に付けることができたと思っています。これからは問いのない世界に飛び込んでいくことになりますが、自分で問いを探して探究できる能力を発揮して活躍することを期待しています。引き続き、われわれはコンピテンシーを重視した教育で、社会に求められる人材を育てていきたいと考えています」

年が明ければ、1期生の進路はどんどん明らかになっていく。偏差値や進学実績を追わない教育の成果がいかなるものか。偏差値が上がったように、進学実績も上がるのか。期待を持って見届けたい。

(写真:注記のない写真は三田国際提供)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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