「国際関係の悪化」で個人にまで忍び寄る深刻なセキュリティの脅威 地政学的リスクで特定の地域・産業が狙われる? 被害は自治体・銀行以外にも

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地政学的リスクに起因するサイバー攻撃というと話が大きく、国家や最先端技術を持つ大企業だけの話と思い込む向きもあるかもしれないが、前述したように地政学的リスクに関連した攻撃は特定の地域を狙われたり、半導体や情報通信といった産業クラスターを対象に行われたりする。そこでは同じ地域や産業の大企業の下請け、孫請け関係にある中小企業も攻撃対象にされる。

最近の手口として、同じセキュリティ機器を使っている企業が同時に狙われる、という攻撃がある。これはセキュリティ機器の脆弱性が発見される前後に、集中的にその機器を使用している企業を同時多発的に攻撃するもので、この観点でも企業の規模は関係なく狙われる可能性があるといえよう。

個人のセキュリティホールから大被害が生まれる!?

実は企業だけでなく、小規模事業者や個人の自宅のセキュリティ環境にも注意が必要である。

「個人や小規模事業者のWi-Fiルーターのセキュリティを狙った攻撃も増えています。自宅のセキュリティ機器やWi-Fiルーターは1回取り付けると『もう10年も使っている』というケースが多いですが、売り切り商品はセキュリティのアップデートが一定期間を過ぎると打ち切りになってしまいます。

その意味では自宅で使っている機器も生鮮食料品と同様に考えていただいて、サポート期間に合わせて買い替えたり、Wi-Fiルーターはつけっぱなしになりがちですが定期的に再起動していただいたり、気をつけるとよいと思います。

個人を足掛かりに侵入されサイバー攻撃されれば、銀行などの重要なインフラも止まってしまう可能性があります。その意味では個人のサイバーセキュリティは、自分の勤める会社や、ひいては日本全体のセキュリティにも直結するようになっているのが最近の状況と言え、個人も警戒が必要です」

不安定な世界情勢が続く今日、企業の大小を問わず、そして企業・個人を問わず、他人事と思わずにセキュリティのガードを固めておくべきである。

東洋経済Tech×サイバーセキュリティでは、サイバー攻撃、セキュリティーの最新動向、事業継続を可能にするために必要な情報をお届けしています。
宮内 健 ライター

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みやうち けん / Ken Miyauchi

明治大学政治経済学部卒。業界紙記者、ビジネス誌編集者を経て独立。人と組織、マネジメント、キャリアなどをテーマに取材、執筆活動を行っている。多摩大学大学院経営情報学修士取得。

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