資産を相続できない?突然死による「デジタル遺品トラブル」、企業は業務ストップや裁判沙汰のリスクも!正しい対策と専門事業者の選び方
インターネットで検索すると、ロック解除やパスワード解析サービスを謳う業者を数多く見つけることができる。だが下垣内氏は、「ネット検索で見つけた業者に安易に依頼するのはお勧めしない」と断言する。
「パスワード解除技術を保有している」「(80%や90%などの)高いデータ復旧率」といった説明で顧客を勧誘しようとする業者がいるが、結局解析できなかったにもかかわらず、「調査にコストがかかった」などの理由で高額な料金を請求されることにもなりかねない。
だからこそ下垣内氏は、デジタル遺品への対応は「事後対応ではなく、事前対応を前提とすべき」だという。つまり家族が亡くなってから対応するのではなく、生前から家族とデジタル資産の情報を共有しておくことが重要だということだ。
「金融機関や各種契約に関するパスワードやアカウント情報を紙やExcelで一覧化している人も多いと思いますが、そうした情報は家族に伝えておいたほうがよいでしょう。家族写真のような大事な思い出は、クラウドサービスなどを利用して家族にアクセス権限を付与しておく方法もよいと思います」
共有にあたって紙は紛失や盗難などの心配が、デジタルでの共有もハッキングなどのリスクがある。この点については、「自身や家族がセキュリティ管理できる方法を選んだり使い分けたりするしかない」と下垣内氏は助言する。
「システム担当者の突然死」で会社機能が麻痺
故人が管理していたデータやログイン情報といったデジタル遺品の問題に直面するのは、家族だけではない。従業員を突然亡くした企業の場合も、深刻な事態に陥ることがある。
下垣内氏は、ある中小企業でシステム担当者が突然病死したために、会社機能が麻痺したケースに関わったことがあるという。その企業では、ファイルサーバーの再起動の際に、システム担当者のスマホからの2段階認証が必要なシステムになっていた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら