資産を相続できない?突然死による「デジタル遺品トラブル」、企業は業務ストップや裁判沙汰のリスクも!正しい対策と専門事業者の選び方
法的な問題に関わる金融資産については、故人が口座を持っていた金融機関に必要書類を提出することで相続手続きを進めることができる。また暗号資産(仮想通貨)についても、故人が利用していた取引所に遺族が申請すれば相続手続きが可能なケースが多いようだ。
しかし問題は、故人が利用していた金融機関名や取引所名を把握しておらず、スマホやパソコンのロック解除ができないというケースなどだ。故人がネット銀行やネット証券などを利用して「ネット金融資産」を保有していた場合、手がかりとなる情報を得られない。金融機関に総当たりで問い合わせる、証券口座なら証券保管振替機構に情報開示請求を行うなどの大きな手間が発生する。
暗号資産については、故人が取引所を介さずに自己管理型のウォレットを利用していた場合は、さらに事態は深刻となる。これは自己責任で暗号資産を保管・管理するシステムであるため、故人がウォレットのログイン情報や秘密鍵、復元用のシードフレーズなどをわかるように残しておいてくれなければ、遺族は資産を相続できなくなってしまう。
「私のところにも、存命中のご本人からの相談ではありましたが、諸事情でウォレットにアクセスできなくなり、『シードフレーズをノートに手書きでメモしておいたが、書き写しミスをしていたようだ。何とか正しいシードフレーズをパソコンから探り出してくれないか』という依頼を受けたことがありました。しかし手を尽くしましたが、見つけ出すことはできませんでした。結局その方は、数千万円単位の資産を失うことになりました」
「専門業者に頼めばいい」の思い込みは危険
スマホやパソコンなどのロックが解除できなかったときには、専門業者に頼めば何とかしてくれると思うかもしれない。しかし、下垣内氏はこう語る。
「ロック解除はデバイスや状況によって難易度が異なり、ロック解除に長けている人はフォレンジック専門家の中でもごく一部。そんなに簡単に解読できるようでは、そもそもセキュリティとして問題があるといえます。また解読できた場合でも、相当な時間がかかるのが一般的です」
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