相次ぐ教員の性犯罪…「学校が仕組みで防ぐ」実効性あるルールづくりの方法とは 教員の信頼が悪用されて起こる被害の「深刻さ」

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清永 奈穂(きよなが・なほ)
NPO法人体験型安全教育支援機構 代表理事
子どもが非行やいじめの加害・被害者にならないこと、また犯罪や災害から身を守ることをテーマに、25年以上にわたり研究と実践を重ねてきた「体験型安全教育」の第一人者。科学的根拠と発達段階に基づいたプログラムを通じて、自分を守る「安全基礎体力」を育む教育を全国で展開。著書に『犯罪からの子どもの安全教育プログラムに関する基礎的研究』(風間書房)など多数。体験を通じた学びで、子どもが危機を乗り越える力を身につけられる社会を目指している
(写真:本人提供)

一方で、保護者からの「子どもたちの様子をもっと知りたい」という声に応える必要もあります。ホームページや学級だよりに写真を掲載するために撮影を行う場合は、学校側で用途を明確にしたうえで、教職員にカメラを貸与すればいいと思います。そのデータを必ずクラウド上にアップするなど、厳格に管理する体制を整えることで、情報公開と安全性の両立が可能になるはずです。

次に、防犯カメラですが、学校内での防犯対策の一環として、設置を求める声が高まっています。すでに外部からの不審者の侵入を防ぐ目的で、正門や裏門などにカメラが設置されている学校もありますが、校舎内への設置については、いまだ議論が分かれています。

個人的には、安易に学校の内部に防犯カメラを導入する前に、まず本当に必要な教育環境の整備に予算を投じるべきだと考えています。冷暖房が整っていない教室もまだ多く、子どもたちが心地よく学べる環境の確保は依然として重要な課題です。

さらに、防犯カメラの設置には、以下のような課題やリスクも伴いますので、慎重に検討する必要があるでしょう。

1. 死角を避けられない
犯罪を意図する者は死角を狙うため、何台設置しても完全な監視は困難。
2. 設置の基準が不明確
学校内の空間は多様で、設置場所や台数の判断が難しく、効果的な配置がしづらいのが現状。
3. その場で防げない
リアルタイムで監視できなければ、犯行の抑止にはつながらず、事後対応にとどまる。
4. 映像の悪用リスク
映像の管理が不十分だと、関係者による流出や不正利用といった新たな被害が起こる可能性がある。
5. 教育の信頼関係を損なう
監視機器の導入は、性善説に立つ教育の場に不信感を持ち込み、子どもとの関係を傷つけかねない。

性加害は信頼の裏で起きる?学校に潜む構造的リスク

――では、教員による接触をともなうような盗撮以外の性犯罪について、なぜ起きてしまうとお考えでしょうか。

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