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〈第三者の認定を黙殺〉ドラマ『相棒』の制作現場で起きたセクハラ問題、東映が加害者を擁護するような主張を訴訟で展開

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Bは数日後、プライベートに踏み込む内容で何度もLINEを送ってきた。

Aさんが忘年会の誘いを無視すると、電話で「LINEを見て」と留守番メッセージを残し、「機嫌が直ったらLINEください」「家に帰るときは、いつでもLINEしてくださいネ。Aちゃんの笑顔が見たいです」などと連絡してきた。

助監督だったCは、撮影の帰りに「彼氏はいるのか?」とAさんに言ってきた。別の日には必要性もなく肩を触ってきたり、カメラテストで自身と見つめ合う役のリハーサルをするよう指示し、Aさんが目を逸らそうとすると「俺の目を見ろ」と命じてきたりした。

相談窓口は問題を軽視する言動

Aさんは東映の相談窓口にこれらの行為を申告した。しかし対応した監査部の社員2人は、警察OBから本件が刑事事件にならないと言われたという趣旨のことを繰り返した。さらに「この人は誰でもかれでもやっている」「フリーの人に教育って難しい」などと発言した。

その後、「メールやSNSの常識的な利用について」という注意書きが社内のグループウェアに掲示されたものの、それは男性側に悪気がない旨を強調する内容だった。

Aさんはその後担当した番組のプロデューサーに対して、撮影現場でBとCと一緒にならないよう要望した。だが、プロデューサーは「研修中にもめるなんてすごいな」などと笑って、取り合わなかった。

Aさんは一連のハラスメントに加え、会社側の無理解な対応に絶望。長時間労働も重なって体調を崩し、2021年7月に適応障害と診断され休職した。その後、個人加盟した労働組合と被害救済や再発防止策を求めていく。Aさんは復職したかったが、同僚の冷ややかな態度にも耐えかね、休職期間満了後に退職した。

東映は2022年8月までに第三者の第一芙蓉法律事務所にハラスメント調査を委託した。調査では、BとCの行為がセクハラに該当することや、相談窓口やプロデューサーの対応が不適切であることなどが認定された。

調査結果を受けた東映はこの年の12月、書面でAさんに謝罪した。一方、Aさんが求めた対面での謝罪や慰謝料の支払いなどは、「謝罪はすでに済んでいる」「これまで誠実に対応してきた」と拒否した。

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