渋幕を「変わった学校」から超人気の「求められる学校」へと押し上げた"土台となる考え方" 言わなくても「自分から学ぶ子どもになる」秘密

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卒業生の言葉から、渋幕的自由には短期的には失敗に見えることも、長い目で見て「自分で正解にしていく力をつける」という思いが込められていると感じます。そして、その「自由」は学校の一部分で行われているのではなく、勉強でも行事でも部活動でもあらゆる学校生活において反映されていることもわかります。「自由」を標榜する学校は少なくないですが、一貫して生徒に委ねて、「渋幕的自由」を体現させていることは同校の大きな特徴だといえるでしょう。

一方で、渋幕では「やりたくないこと」を表明する権利も認められています。渋幕には、放課後や夏休みの講習などたくさんの学習機会が用意されています。強制はされていないので、受講することも、しないことも自由です。

社会科の高橋哲先生は「ひとつも講習を取らずに、『自分で勉強します』という生徒も中にはいます。私が学年主任だったときには、350人の学年で30人ぐらい全く受講しない子がいました。この受講しない人数が7〜8割になったら、学校として教育活動を再考しなければいけませんが、ある一定数いることはむしろ自分たちで判断できる生徒に育っているということだと思うんです」といいます。

「渋幕的自由」は生徒の自由と責任のもと意志決定していく姿と、先生が生徒の「やりたい(やりたくない)」という思いを尊重する環境整備によって生まれていった象徴的な言葉だと感じます。

卒業生に「渋幕に合っている子・合っていない子は?」と尋ねた際、「入学してから、その子の性質が変わることもある」と前置きした上で、「自分で考えたいと思っている子」「これがやりたいということがある生徒」は合っているといった声が聞かれました。

一方で、「誰かに決めてほしい」「レールに乗っていきたい」と思う子は辛いかも、という発言がありました。

塾でも勧められていることですし、渋幕だけに限ることではないですが、実際に学校に見学に行って子どもにマッチするかを確認しておくことはとても大切です。

取材の中では、文化祭などの行事を見て、その自由な雰囲気に惹かれて入学を志望したと語ってくれた生徒・卒業生が多かったです。また、「共学であることがポイントになった」という生徒もいました。男子校・女子校の御三家に受かったけれど、「渋幕を選んだ」という生徒・卒業生もいました。また、生徒たちの登下校の様子を親子で見に行って、お子さんが通う「日常」をイメージできるかを考えてみることもオススメです。

(注記のない写真:MARODG / PIXTA)

執筆:佐藤智
東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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