不況下のドイツで株価が急騰する「奇々怪々」 2025年もマイナス成長?「株式バブル」の様相も

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ドイツでは2月23日に総選挙が実施された。事前予測どおり、最大野党である中道右派のキリスト教民主同盟・同社会同盟が第1党と返り咲いたため、同党を中心に組閣協議が行われることになるだろう。

ライバル政党である中道左派の社会民主党(SPD)と大連立を組むとの観測が有力だか、それ以外の政党と連立を組む、あるいは少数与党を選択する可能性もなくはない。

いずれにせよ、組閣協議は数週間から数カ月を要するだろう。新内閣が発足するのは、早くても初夏だ。そうなると、新内閣による政権運営が軌道に乗るのは、早くて年後半ということになる。新年度予算が執行されるのはさらにその後であり、順調に行っても夏以降のことだろう。少なくとも年の半分以上、財政面から景気を刺激することは不可能である。

今年もドイツ経済はマイナス成長となりそうだ

こう整理していくと、やはり今年もドイツ経済はマイナス成長が続くと考えたほうが自然である。仮にプラス成長になったとしても、その幅は非常に低い水準になる。ドルベースでの名目GDPでは確かに日本を追い抜き、その差を拡げているドイツだが、その内実は極めて厳しい。少なくとも、ドイツ経済が好調という評価は当たらない。

日本はドイツを嘲るのではなく、他山の石にしなければならない。エネルギー政策然り、物価の安定に関しても今一度、きちんとその重要性を理解する必要がある。少なくとも、デフレを不景気と読み替えて財政拡張路線を歩むことは、かえって日本の価格競争力を低下させ、日本の輸出体力を削ぐ方向に働くことを肝に銘じるべきではないだろうか。

土田 陽介 三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部副主任研究員

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つちだ ようすけ / Yosuke Tsuchida

2005年一橋大経卒、06年同修士課程修了。13年同博士課程単位取得退学。株式会社浜銀総合研究所を経て現職。 欧州を中心にロシア、トルコ、新興国のマクロ経済、経済政策、政治情勢などについて調査・研究を行う。主要経済誌への寄稿、学会誌への査読付き論文多数。著書は『基軸通貨‐ドルと円のゆくえを問いなおす』(筑摩選書)『ドル化とは何か‐日本で米ドルが使われる日』(ちくま新書)『脱炭素・脱ロシア時代のEV戦略 EU・中欧・ロシアの現場から』(分担執筆、文眞堂)。 関東学院大学経済学部非常勤講師。

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