史上最大の下げ幅4451円安「日本株」今後どうなる 米国経済の底堅さ確認なら1年以内に4万台回復へ

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最後に日本株固有の要因として、資本効率改善を狙った自社株買いの動向に触れておきたい。

自社株買いは、一株当たり利益を押し上げる他、株式市場の需給改善に寄与することで株価上昇に繋がる。特にPBRが1倍を割れている企業は、不要な資産(例えば稼働率が低く低収益率の工場、明らかに余分な現金)を多く抱えている傾向にあるため、それらを処分し自社株買いに充てるとその効果は大きくなる。

また経営者が自社の株価が割安であるとのサインを市場に送る、いわゆる「シグナリング効果」もあり、投資家に歓迎される。現在、自社株買いの設定枠は年間13兆円(=直近12カ月累積値)まで拡大し、パンデミック発生前の2019年実績8.2兆円から飛躍的増加を遂げている。かつてクジラとも言われた日銀のETF買い入れ枠が6兆円だったことを踏まえると、その規模の大きさが実感できる。

もちろん、米大統領選の行方およびそれに伴う地政学リスクの高まりなど、不透明要因は残存する。また中国経済の動向次第で金融市場全般のストレスが高まる恐れはあるが、現時点で想定されるシナリオから逸脱することがなければ、日経平均株価は再び4万円を回復するだろう。

藤代 宏一 第一生命経済研究所 主席エコノミスト

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ふじしろ こういち / Koichi Fujishiro

2005年第一生命保険入社。2010年内閣府経済財政分析担当へ出向し、2年間『経済財政白書』の執筆や、月例経済報告の作成を担当。その後、第一生命保険より転籍。2018年参議院予算委員会調査室客員調査員を兼務。2015年4月主任エコノミスト、2023年4月から現職。早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。担当は金融市場全般。

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