史上最大の下げ幅4451円安「日本株」今後どうなる 米国経済の底堅さ確認なら1年以内に4万台回復へ

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言うまでもなく、金利低下は債券との比較で株式の魅力を高める。短期金利が5.5%もある現在の状況において、投資家は無リスクで5.5%の収益を獲得することができる。そのため、敢えてリスクを負って株式に投資する理由に乏しいと考える投資家も多いと推察される。

しかしながら、仮に短期金利が3%などへと低下すれば、無リスク資産から得られる収益に満足できない投資家が増加し、株式市場に資金が向かう可能性が高まる。こうした考えはあまりにも単純すぎるかもしれないが、「Fedに逆らうな」という相場格言はこういうことなのではないか。

次に日本株について幾つかの要点を整理する。まず、為替について筆者は「円安は日本株に追い風」であると強い自信を持って認識している。

前提として、日経平均株価の採用銘柄数の約6割が製造業ということがある(TOPIXの時価総額でみても概ね同様)。製造業にとって円安は、円建て輸出金額の増加や海外子会社等の評価益拡大を通じて企業収益を膨らませる。円安の是非は、日本経済全体に対しては決着が付かないものの、日経平均株価やTOPIXといった代表的な株価指数に対してはプラスと考えるのが自然だろう。

半導体市況の好転がカギ

こうした背景を踏まえると、Fedの連続利下げと日銀の「微」利上げに伴う円高は収益下押し要因となる。実際、日銀金融政策決定会合後に円高・株安が進んだ局面で、日本株の下落が米国株以上に打撃を被ったのにはそうした背景があるだろう。

他方、半導体市況の好転は日本株に強い追い風となる。世界半導体売上高に目を向けると、2024年5月は前年比プラス19.3%と順調に伸び率が高まっている。スマホやPCに用いられる従来品の回復は道半ばであるものの、AI向けでは飛躍的に増加しており、全体として拡大局面入りしている。

こうした前向きな傾向はすでに日本の半導体関連銘柄に恩恵を及ぼしているが、今後、広範な製品(用途)で半導体需要が回復すれば、好影響は更に強まる。

その点、7月31日に発表された日本の6月鉱工業生産指数は半導体市況の拡大に自信を与える情報が含まれていた。筆者が重視するのは、半導体市況に敏感な「電子部品・デバイス工業」の出荷、在庫である。

より具体的には出荷の前年比伸び率と在庫のそれを比較した「出荷・在庫バランス」と呼ばれる尺度だ。数値の上昇は、出荷の伸びが在庫の伸びを凌駕していること示すので、製品需給が引き締まる方向にあることを意味する。6月(直近3カ月平均値)のそれは、プラス33.0ptであった。出荷は前年比プラス0.8%と力強さに欠けたものの、在庫は同マイナス32.2%も減少した。過去の動向に鑑みると、今後は積極的な在庫積み増しを目的とする生産・出荷の増加が期待され、同業種に属する企業の収益拡大が予想される。

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