ひと烈風録【下編】
『週刊東洋経済』4月13日号の連載「ひと烈風録」は前明石市長で弁護士の泉房穂氏。2度目の暴言で首長の座を降りた際には“政界引退”を宣言したが、復帰を期待する声が広がっている。
※ひと烈風録【中編】はこちら。
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03年11月上旬、神戸の新開地駅前で、民主党の新人候補がマイクを握って、
「行動する弁護士、泉房穂、40歳。強い日本をつくる。安心できる社会のために。脱官僚宣言!」
とマニフェスト(選挙公約)に沿って叫んでいた。
小泉純一郎政権下の衆議院議員選挙、神戸市を中心とする兵庫2区は、自民党が候補者の擁立を見送り、公明党の赤羽一嘉の指定席だった。そこに泉が殴り込んだ。
泉の演説を、駅前のビルの脇で、じっと聴いている女性がいた。2年前に泉と結婚した妻である。
自宅に戻った泉にピシャリ
商家に育った妻は、アウトドアでのボランティア活動や異業種交流に熱心だったが、選挙運動を仕切った経験はなかった。そもそも政治が嫌いだ。泉に促され、裏方に回っていた。生後4カ月の娘を泉の実家に預け、出馬するからには勝たなくてはと腹をくくった。
その晩、妻は、自宅に戻った泉にピシャリと言った。
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