中国はここ数年で南米における経済的な足跡を著しく拡大、米国を抜いて南米の最大の貿易相手国となった。バイデン米大統領は中国の地政学的野心に対抗するという強い公約を掲げているにもかかわらず、米国の近くで中国が存在感を高めている状況を大きく見落としている。理解に苦しむのと同時に憂慮すべきことだ。南米が気候変動との戦いで死活的に重要な役割を担う地域であることを考えれば、なおさらである。
南米に歩み寄る中国の存在感
ブラジルのルラ大統領は少し前にウクライナで戦争を「けしかける」のをやめるよう米国に求める発言をしたが、これは南米で米国の影響力が薄まっていることと、バイデン政権がそうした状況に対処できていないことを示す最新の事例の1つにすぎない。
南米に対する米国の無学ぶりは、今に始まったものではない。1982年に同地諸国を歴訪した当時のレーガン大統領が、南米が多数の国で構成されていることを知って「驚いた」と発言したのは有名だ。同氏の発言は4.3億の人口を抱える多様性に富んだ南米に対し、米国で広く見られる無知を映し出していた。豊富な鉱床、広大な農地、世界の熱帯雨林の半分以上を抱える南米に、中国が強い関心を持つのは不思議でも何でもない。
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