トルコで5月に行われた大統領選挙の結果に失望せずにいるのは難しい。2月の大地震の余波、山積する経済問題、深刻化する汚職が選挙戦を左右する中、ますます強権化するエルドアン大統領の20年に及ぶ統治に終止符が打たれるという期待は高かった。野党統一候補、共和人民党(CHP)のクルチダルオール党首の勝利を示唆する世論調査も存在した。
それがエルドアン氏の勝利に終わったのには、世論調査の誤りでは収まらない根本的な問題がある。トルコの有権者の間で高まっているナショナリズムに目を向けなければ、エルドアン氏が再選された理由は理解できない。そうした変化の背景にあるのが、クルド人分離主義者との長引く紛争、中東から大量に流れ込む難民、エルドアン氏の公正発展党(AKP)と大手メディアが10年以上にわたって垂れ流してきたプロパガンダだ。
エルドアン氏の戦闘的なナショナリズムはその結果、クルチダルオール氏が掲げた中庸や反腐敗よりも有権者に響くものとなった。
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