車の安全を担う自動車整備士の「なり手不足」が深刻だ。問題の背景に何があるのか。
4.78倍ーー。これは2021年度の自動車整備士の有効求人倍率だ。整備士の仕事を求めている人1人に対して、5人近くの求人があることを示す。全職種平均の1.16倍と比べると、自動車整備士の逼迫具合がよくわかる。
新車ディーラーやカー用品店など、多くの整備業者が若者の獲得に必死だ。ある大手のディーラーの人事担当者は「採用は厳しい状態が続いている」と嘆く。「整備士はぜんぜん足りない。毎年、就活の時期になると、生徒は奪い合いになる」。自動車整備士を養成する東京工科自動車大学校世田谷校の佐藤康夫校長は語る。
日本自動車整備振興会連合会によると、2011年6月末時点で34.7万人だった全国の自動車整備士は、2022年には33.1万人と約4.5%減少した。整備要員の平均年齢もこの間、42.8歳から46.7歳まで上昇した。
数字だけを見ると、自動車整備士人口は「微減」に留まるが、若者のなり手不足は深刻だ。自動車整備学校の入学者数は2003年度には1万2394人いたが、2019年度には6374人へほぼ半減した(全国自動車大学校・整備専門学校協会調べ)。
染み付いた3Kと低賃金のイメージ
整備士のなり手不足が深刻化しているのはなぜか。ある専業業者の幹部は「3K(キツい、汚い、危険)に加え、給与が低いというイメージがあるからではないか」と語った。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら