ゲンナジー・エドゥアルドヴィッチ・ブルブリス氏(1945年8月4日〜2022年6月19日)は、筆者がこれまでに面識を持った人々の中で、最も頭のよい人物だった。学識が豊かなだけではない。理念を実行に移す力があった。もっとも現在のロシアでブルブリス氏は、ソ連を崩壊させ、ロシアを混乱させた張本人として嫌われている。
ロシア人も死者にむち打つのは人間としてよくないという感覚を持っている。しかし、ブルブリス氏は適用外になっているようだ。同氏の死去について伝えるロシアのマスメディアはいずれも否定的コメントを付していた。
エリート層に影響を与える「イズヴェスチヤ」(電子版6月19日)はこう報じた。
CIS・ユーラシア統合・在外同胞問題に関する国家院(下院)委員会のレオニード・カラシニコフ委員長は「ソ連崩壊の父」を自認していたブルブリスについてこう述べた。「死者を悪く言うことはよくないが、私はブルブリスについてよいことを何一つ覚えていない。自身がソ連崩壊とベロヴェーシ合意(独立国家共同体の設立に関する協定)の父であると述べていた。私個人としては、まったく是認することができない」。
ソ連を崩壊させた男、ブルブリス氏とは
現在のロシアでは、政治エリートも大衆もブルブリス氏に忌避反応を示している。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら