「教員として働きたくない」が約6割、ペーパーティーチャーの実態と本音 教員不足の解消へ、研修に力入れる自治体も

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教育現場で深刻化する「教員不足」は、今や社会問題になっている。文部科学省が2021年度に行った調査では「全国の公立学校1897校で、2558人もの教員が不足している」(21年4月1日時点)という。この問題を改善するにはどうしたらよいのか。世の中には、教員免許を取得しつつも現在は教壇に立っていない人たちが少なからず存在する。こうした免許保持者が教育現場で活躍できれば、教員不足解消の一助になるかもしれない。そうしたいわゆるペーパーティーチャーを教育現場に呼び込もうと働きかける自治体も増えている。東洋経済新報社では、急きょ、教員免許を持ちながら企業などで働く450人を対象にアンケートを実施。教員免許を持つ社会人の存在が教員不足に歯止めをかけることができるのか、可能性を探った。

約4割の学校で教員不足

今年1月に文部科学省が発表した「『教師不足』に関する実態調査」では、全国の公立小学校、中学校、高等学校、特別支援学校のうち、1897校で2558人の教員不足が発覚した。不足した学校数1897校という数字は、全体の学校数からすると5.8%であり、大したものではないように感じるかもしれないが、事態は決して楽観視できるものではない。

文科省の調査は昨年実施されたものであったが、元教員らでつくるグループ「#教員不足をなくそう緊急アクション」が行った今年4月の始業式時点での調査(公立小・中学校の副校長・教頭にアンケート調査/回答数1070件)では、約2割の公立小・中学校で教員不足が起きたとされている。

文科省の調査と一概に比較はできないものの、状況はよりいっそう悪化している可能性もある。「#教員不足をなくそう緊急アクション」が行った調査では、昨年度を通じて1度でも教員不足が起きたかも聞いているが、この質問になると、教員不足が起きたとした回答は約4割に跳ね上がる。教員不足は、もはや一部の学校の問題ではない。

教員不足によって、学級担任が決まらずに教頭などの管理職が担任を代行するケースはまだ救いがある。管理職の負担が大きくなってしまうものの、学びは止まらないからだ。だが中には「担任がいない」状態が続くクラス、授業に影響が出ている学校もあり、早急な対策が必要である。

7月から失効した教員免許が復活

そんな教員不足対策の1つとして文科省が呼びかけているのが、教員免許を持ちながら一般企業などに勤めている社会人の転職だ。

今年5月には、教員免許の有効期限を10年と定める「免許更新制」が廃止され、この7月からは失効してしまった免許も復活することになった(教員免許更新制導入後に初めて免許状の授与を受けたいわゆる新免許状には有効期限があるが、有効期限を超過していても再授与申請手続きを行うことで有効期限のない免許状を受けることができる)。

もともとは現場教師の免許更新時の負担を減らす目的で行われた制度変更だったが、ペーパーティーチャーに教壇に立ってもらうよう呼びかける面でも有利に働くはずだ。

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