「教員として働きたくない」が約6割、ペーパーティーチャーの実態と本音 教員不足の解消へ、研修に力入れる自治体も
ただ、実際問題として教員免許保持者はどのように感じているのだろうか。そこで東洋経済新報社では、教員免許を持ちながら企業などで働く450人を対象にアンケートを実施した。教壇に立つ意思があるのかなど、その本音を探った。
今回、アンケートに協力してくれたのは、小学校の教員免許を持つ150名と中学・高校の教員免許を持つ300名合わせて450名である。現在の職業は約6割の290名が会社員であり、そのほかパート・アルバイト従事者が8.9%の40名、専業主婦・主夫が7.8%の35名、公務員が7.3%の33名、自営業6.4%の29名などである。
まずは、そもそも「なぜ教員免許を取得したのか」。その動機を確認する質問では、突出して多かった回答が「とりあえず取っておこうと思った」というものだ。

そのため「教員採用試験を受けていない」が35.8%もいたが、「教員採用試験に受からなかった」という人も16.4%もいた。多かったのは「最初から教員志望ではなかった」(15.1%)、「一般企業への就職のほうが魅力的だった」(16.9%)だ。

「機会があれば、教員として働いてみたいか」の質問には「いいえ」の回答が57.6%と半数を超えた。

教員として働いてみたい人42.4%
教員として働く意思のない人が半数以上いたわけだが、それはどのような理由なのか詳しくみていこう。教員として働きたくない理由を聞くと、いちばん多い回答が「学校で働くのは過酷なイメージだから」というものだった。

「その他」を選んだ人の中には、「教育実習で教員の大変さを実感したから」「実際に過酷で自分には務まらなかったから」などの回答があり、実際に教員として働いた経験から「教師には向いていない」と判断している人もいた。
一方で、教員として働いてみたいとする人が42.4%もいたことは、転職者を呼びかける取り組みに希望を感じられる結果ではないだろうか。
教員として働いてみたい理由としても「社会人としての経験を教育現場で生かしたい」「次世代を担う人材を育てたい」「学校教育に興味があるから」といった回答が多く、教員となった場合の熱意を感じさせてくれる結果となった。

「その他」の中には、意外にも「部活動やクラブ活動の顧問をしてみたい」という回答が多く見られた。現在、部活動については教員の負担が大きすぎることが問題になっており地域移行が検討されているが、教員として働く際の魅力として感じる人も少なからずいるようだ。
ペーパーティーチャー講習に力を入れる自治体も
もちろん、教員に興味がある人がいるといっても、未経験者が先生として教壇に立つにはサポート体制も充実させる必要がある。今回のアンケートでも、いきなり一人前として教壇に立つのではなく補助教員としてスタートすることや一定の研修期間を望む意見が多かった。
そこは、自治体でも努力をしていて、ペーパーティーチャー講習を実施する自治体も増えてきた。例えば神奈川県や大阪府箕面市では、最新の学校の様子や免許更新制度の詳細などが学べる研修を用意し、研修講座後には臨時的任用職員・非常勤講師登録会などを実施している。また神戸市などは1週間の集中研修を実施しており、現在の教育課題が学べるほか、近年導入された ICT 教育に関する知識・技能が習得できる。もちろん研修後には、欠員状況に応じた教員としての採用までをサポートする。