民放5局の「ネット同時配信」にくすぶる2つの不安 4月からTVerでキー局揃い踏みも山積する課題

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各社が拡大を急ぐネットでの見逃し配信。ついにリアルタイム配信もそろい踏みとなる。

ようやくスタートを切れたが……(記者撮影)

期待と不安が入り混じったスタートだ。

4月、民放キー局4社がテレビ放送のネット同時配信を開始する。現在、各社がスマートフォンやPC向けに提供する地上波放送番組の見逃し配信サービス「TVer(ティーバー)」から、プライム帯と呼ばれる午後7時から11時の間を中心に視聴できるようになる。

ネット同時配信は2021年10月、日本テレビホールディングス(HD)が他社に先駆けてスタートし、当初は2021年末に各社が横一線となる予定だった。しかし、ティーバーにおける技術的トラブルによって後ろ倒しされ、ようやくの揃い踏みとなった。

ネットからテレビへの回帰促す

若年層を中心にテレビ視聴者が減少の一途を辿る中、各局ともその落ち込みを防ぐ一手としたい考えだ。日本テレビの杉山美邦社長は2021年9月に行われた記者会見で「デジタル機器を使いこなしている若い方に、われわれの制作しているコンテンツを見てもらいたい。同時にテレビに回帰してもらう効果も期待している」と狙いを語っていた。

こうしたテレビ視聴者の再拡大に加え、ネット同時配信に期待される役割がネット広告の成長加速だ。ティーバーにおけるドラマやバラエティー番組などの見逃し配信では、ユーチューブなどと同様に、視聴前やその最中に動画広告が流れる。各社ともこれによる収益拡大にひた走っており、無料配信する番組数も拡大傾向にあるのだ。

ティーバーにおける月間平均再生回数が在京キー局5社の中でトップのTBSHDは、2021年度上半期に月間平均4465万再生を記録。ティーバーを介した広告など無料配信収入も実額は開示されていないが、前年同期比76%増となっている。あるキー局首脳はティーバーでの広告収益についてネット同時配信の開始を追い風に「いち早く(年間で)100億円以上を目指す」と気勢を上げる。

しかし、ネット同時配信には2つの大きな課題が残っている。

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