富裕層には、多額の資産のにおいを嗅ぎつけた詐欺師たちが群がり、言葉巧みにだましていく。驚くべきその実態に迫る。

「アメリカで太陽光発電を手がけている企業の社長になってもらえませんか?」
1部上場企業のナンバー2まで出世した後、引退した都内の男性は数年前、そんな誘いを受けた。
誘ってきたのは、アメリカで太陽光発電を展開している企業の社長。上場を目指しており、豊富なノウハウを持った新たな経営者を探しているという。
男性は当初、怪しい話だと思ったものの、上場を目指しているほどの企業であること、そして何より太陽光発電の市場が急拡大していたこともあり、「もう一花咲かせてみたい」と誘いを受ける決断をした。
社長に就任してしばらく経った頃、男性は前社長から「上場を視野に入れ、企業規模の拡大を図るべく資本調達をしよう」と持ちかけられる。業績が順調だったこともあり、「チャンスかもしれない」と考えた男性は、自らの人脈を生かして資金を調達。自分自身も、以前勤めていた会社の株を売却したことで得た資産から10億円余りを拠出した。
壮大な罠にかけられていた
ところがだ。ある日、会社の財務データを精査していたところ、おかしな数字があることに気づいた。前社長を呼び出して問いただすと、渋々こう答えたという。
「実は簿外に多額の債務を隠している」
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