右肩上がりの成長が続く漫画アプリ。出版社やIT企業をまじえた覇権争いで、勝ち残るのはいったいどこなのか。
今年6月、ある企業が香港系投資ファンドを引受先とする第三者割当増資で600億円を調達した。その企業の名はカカオピッコマ。韓国カカオの日本法人で、漫画アプリ「ピッコマ」を柱に急成長しているIT企業である。
2021年1~6月に国内の未上場ベンチャーが調達した最大額は156億円。カカオピッコマはその4倍に当たる資金を調達したことになる。
資金調達完了時の企業価値は8000億円超。これは現在、国内ベンチャーでトップとされるAI(人工知能)開発のプリファードネットワークスの3517億円を優に越す。これほどまでに漫画アプリの成長性が評価されるのはなぜか。
漫画アプリならではの強み
今、漫画市場がアツい――。
出版科学研究所の調査によれば、コミックの販売額は1995年の5864億円をピークに下降の一途をたどってきた。だが、2020年は『鬼滅の刃』の驚異的大ヒットもあり、6126億円まで回復するなど、1978年の統計開始以来最大の規模となった。
単行本やコミック誌が伸び悩む中、市場を牽引するのが電子コミックだ。その中で、ひときわ存在感を増しているのが「漫画アプリ」である。
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