ありそうもなく、予測困難だが、現実になれば経済に巨大な衝撃を与える出来事を指して、統計学者のナシーム・ニコラス・タレブ氏は「ブラックスワン(黒い白鳥)」という言葉を用いた。そして昨年、国際決済銀行(BIS)の報告書は金融界に「グリーンスワン(緑の白鳥)」という新たな分類を持ち込んだ。気候変動や生物多様性の喪失に起因するリスクのことである。
「緑の白鳥」の出現は気候変動が進んでいる以上避けられず、その意味で「黒い白鳥」よりは予想がつきやすい。ただ、これは歴史的に前例のない現象だ。銀行や保険業界を含む、経済のさまざまな領域にどのような影響をもたらすのかを理解するために、過去の経験を当てはめることはできない。
脱炭素化が進めば、いくつかの経済活動は消滅し、化石燃料に関連した“座礁資産”の価値は急落するはずだ。むろん、これは必要なプロセスではあるが、金融システムを不安定化させることのないよう、しっかりと管理された形で進められなくてはならない。
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