コロナワクチン「国産」が出遅れた根本原因 インタビュー/東京大学医科学研究所教授 石井健

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新型コロナワクチンの大規模接種が始まったが、使われているのは海外メーカーの製品だ。国内メーカーはなぜ後塵を拝したのか。

日本のコロナワクチンの接種率は2%台。国際比較では14番手と、先進国の中でも遅れている(写真:時事)

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ついに日本でも新型コロナワクチンの大規模接種が始まった。

だが、接種に使われているのはアメリカの製薬大手ファイザーやモデルナが製造したワクチンだ。そこに国内メーカーが開発した「純国産ワクチン」はない。複数の候補は臨床試験段階で、実用化まではまだ時間がかかりそうだ。

実は、今回のようなパンデミック(感染症の世界的大流行)を見据え、2016年からコロナウイルスの「模擬ワクチン」の開発に乗り出していた研究者がいる。東京大学医科学研究所の石井健教授だ。

石井教授は、アメリカの規制当局であるFDA(食品医薬品局)でワクチンの基礎研究や臨床試験の審査業務に携わった経験も持つ、ワクチン研究の第一人者だ。そして、模擬ワクチン開発で活用しようとしていた技術こそ、ファイザーやモデルナが活用して開発レースで他社を圧倒した「RNAワクチン」の技術だった。

なぜ日本企業は開発レースで完全に出遅れたのか。また、石井教授が日本で進めていた模擬ワクチンのプロジェクトはなぜ頓挫したのか。これまでのワクチン産業、ワクチン行政に横たわる課題について石井教授に聞いた。

ワクチン産業が抱えるトラウマ

――「敗戦」とまで言われている国内のワクチン開発状況をどう見ていますか?

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