ドコモ、代理店に「頭金0円強要」で独禁法違反か 独自調査で判明、人気スマホが値下がりの背景

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この条件で代理店が自主的に1万円台の頭金を外すことは考えにくい。ドコモにこの点の説明を求めると、「判断は代理店が行うものなので詳細は分かりかねます」(代理店担当部長・川瀬裕吾氏)と答えるのみだった。

消費者に大きな不利益

頭金がなければスマホが安く買えるので一見、利用者にとってはいいことのように映るかもしれないが、実はそうではない。携帯ショップは頭金を付けなければスマホ販売での利益を全く得られない。そうなると、利益のほぼすべてを、携帯電話事業者からの成績評価に基づくインセンティブや支援金に依存せざるをえない。

その成績表の中身は携帯電話大手ごとにさまざまだが、ガラケー(従来型携帯)からスマホへの移行の件数を求めるものや、大容量プランの獲得率の高さを求めるものなどがある。その実績に応じた得点によって、インセンティブの金額は大きく変わる(ドコモの代理店施策の詳細についてはこちら)。

ドコモショップを営む代理店関係者らは「主力機種の頭金にドコモから手を入れられたことでスマホ販売の粗利が得られなくなり、ドコモの成績査定をますます必死に追わざるをえなくなる。利用者のことを第一に考えて営業するのはいっそう難しくなる」と異口同音に話す。

携帯電話事業者による頭金への介入は、代理店だけの問題だけではない。携帯ショップがインセンティブを求めて成績評価を過剰に追いかけ、顧客のニーズに合わないサービス提案につながる。その結果として、高齢者など携帯に詳しくないユーザーが不必要な大容量プランに入る羽目になるなど、消費者が割高なプランをつかまされることになりかねない。

携帯電話大手の通信事業は、公共の電波を格安で国から借りて行っているビジネスである。自社の利益や都合ばかりを優先し、代理店や利用者を不当に踏み台にするようなやり方は許されるものではない。

 

連載「携帯販売の大問題」では、以下の記事も無料で配信しています。

ドコモ担当者「頭金0円を代理店に指示したつもりはない」

「わざとスマホを壊して!」驚愕営業の実態

奥田 貫 東洋経済 記者

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おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入り経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に入社。

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山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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