この条件で代理店が自主的に1万円台の頭金を外すことは考えにくい。ドコモにこの点の説明を求めると、「判断は代理店が行うものなので詳細は分かりかねます」(代理店担当部長・川瀬裕吾氏)と答えるのみだった。
消費者に大きな不利益
頭金がなければスマホが安く買えるので一見、利用者にとってはいいことのように映るかもしれないが、実はそうではない。携帯ショップは頭金を付けなければスマホ販売での利益を全く得られない。そうなると、利益のほぼすべてを、携帯電話事業者からの成績評価に基づくインセンティブや支援金に依存せざるをえない。
その成績表の中身は携帯電話大手ごとにさまざまだが、ガラケー(従来型携帯)からスマホへの移行の件数を求めるものや、大容量プランの獲得率の高さを求めるものなどがある。その実績に応じた得点によって、インセンティブの金額は大きく変わる(ドコモの代理店施策の詳細についてはこちら)。
ドコモショップを営む代理店関係者らは「主力機種の頭金にドコモから手を入れられたことでスマホ販売の粗利が得られなくなり、ドコモの成績査定をますます必死に追わざるをえなくなる。利用者のことを第一に考えて営業するのはいっそう難しくなる」と異口同音に話す。
携帯電話事業者による頭金への介入は、代理店だけの問題だけではない。携帯ショップがインセンティブを求めて成績評価を過剰に追いかけ、顧客のニーズに合わないサービス提案につながる。その結果として、高齢者など携帯に詳しくないユーザーが不必要な大容量プランに入る羽目になるなど、消費者が割高なプランをつかまされることになりかねない。
携帯電話大手の通信事業は、公共の電波を格安で国から借りて行っているビジネスである。自社の利益や都合ばかりを優先し、代理店や利用者を不当に踏み台にするようなやり方は許されるものではない。
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