ノーベル化学賞 吉野彰氏が示した「危機感」 リチウムイオン電池での日本企業の優位性は盤石ではない
「ノーベル化学賞のフィールドは広く、電池のようなデバイス(部材)はなかなか順番が来ない。ただ『順番が来たら必ず取ります』と言っていた。まさか、まさかです」
10月9日、旭化成本社で行われたノーベル化学賞の受賞会見で、吉野彰名誉フェローは声を弾ませてそう語った。旭化成は2012年から受賞会見を準備し続け、晴れてこの日に「本番」を迎えた。
スウェーデン王立科学アカデミーは同日、19年のノーベル化学賞を、リチウムイオン電池の開発に貢献した3氏に授与すると発表。吉野氏のほかに受賞するのは、米ニューヨーク州立大学のマイケル・スタンリー・ウィッティンガム卓越教授(77)、米テキサス大学のジョン・グッドイナフ教授(97)。
繰り返し充電して使えるリチウムイオン電池は、「IT革命とともに生まれ育ってきた」(吉野氏)。1991年に商用化されて以降、従来製品と比べて小型軽量ながら高容量(エネルギー密度が高い)電池として、ノートパソコンやスマートフォンなどのモバイル電子機器、電気自動車などに広く使われるようになった。足元では車載向けが成長を牽引し、18年の市場規模は4兆円を超したもようだ。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら