ジ・オークラ・トーキョーなど、名門ホテルが建て替えで高級化路線を進める。日本のグランドホテルは復活できるのか。
黄土色で深めのじゅうたんが敷き詰められたロビーを、オレンジ色に光るランターンと残暑の白い日差しが照らす。丸テーブルの周りには5つのいすが置かれ、梅の花をかたどっている。そこに青や紫のドレスの女性たちが腰かけ、スマートフォンを片手に結婚式の開始を待っていた。
その近くでは、世界時計がロビーの壁一面を埋め、6大陸各都市の時を刻んでいる。カーキ色の帽子と、同色のジャケットを身にまとった年配の男性が「昔のオークラそのまんまじゃないか。世界時計も懐かしいなぁ」とつぶやくと、ホテルマンが「ロビーを完全再現しました。でも、その世界時計はタッチパネル操作になり、ちゃんと進化もしていますよ」と話す。
さまざまな目的を持った人々が行き交うロビーは、再現された木の壁とじゅうたんが音を吸収し、かつてのように静けさと独特の雰囲気をつくっている。
巨額を投じて再開発
日本の大手ホテル運営会社ホテルオークラは9月12日、ジ・オークラ・トーキョー(新オークラ)を開業した。発祥の地である東京・虎ノ門にあったホテルオークラ東京本館(旧本館)を2015年に閉館。4年の歳月と総工費約1100億円を投じ、ホテルや宴会場、レストランとオフィスが入居する、2棟体制の複合高層施設に建て替えた。オークラの建て替えは、かつて世界トップクラスを誇った日本の老舗ホテルが再び世界水準の最高級ホテルになれるかどうかという試金石でもある。
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