工学院大学 教授 山田昌治氏に聞く 『麺の科学 粉が生み出す豊かな食感・香り・うまみ』を書いた

✎ 1〜 ✎ 226 ✎ 227 ✎ 228 ✎ 最新
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
やまだ・まさはる 1953年生まれ。77年京都大学工学部化学工業科卒業、79年同大学院修士課程修了。秋田大学を経て88年日清製粉入社、食品の研究開発に従事。2010年から工学院大学先進工学部応用化学科教授。専門は化工物性・移動操作・単位操作。テレビ出演多数。(撮影:今井康一)

科学でもっとおいしくなる。ただ「麺だけ食べる」はNG

「人類は麺類」とまでいえるかは別として、麺類が嫌いという人はあまりいないだろう。昼は必ず麺類という人もいるはずだ。ただ、材料が同じでも麺によって弾力や香りなどが違うのはなぜか、従来の調理法は合理的なのかといったことを考える人は少ない。いくつになっても自ら実験、分析する工学者が科学的に迫る。

麺の科学 粉が生み出す豊かな食感・香り・うまみ (ブルーバックス)
麺の科学 粉が生み出す豊かな食感・香り・うまみ (山田昌治 著/講談社ブルーバックス/1000円+税/238ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──実は専門はパンだとか。

日清製粉の研究所では両方やりましたが、どちらかというとパンで、最も成果が上がったのが生地をこねる研究。こねる工程の研究が少ないので、酵母の表層にオワンクラゲの緑色のタンパク質を移植して目に見えるようにしました。

──ノーベル賞で有名な光るやつ。

可視化できた酵母を入れた生地をこねて凍結、1マイクロメートル単位でスライスし、一枚一枚酵母の分布を調べて3次元化し動径分布関数を求めるという論文を書いたら、日本農芸化学会の論文賞をいただきました。なので、本書の話が来たときも「パンの科学」ならすぐ書けると言ったんです。そうしたら、それはもうあります、って(笑)。著者の吉野精一さんはパンの分野では有名な方で、非常に優秀。彼が書いているなら仕方ないか、と。

関連記事
トピックボードAD