科学でもっとおいしくなる。ただ「麺だけ食べる」はNG
「人類は麺類」とまでいえるかは別として、麺類が嫌いという人はあまりいないだろう。昼は必ず麺類という人もいるはずだ。ただ、材料が同じでも麺によって弾力や香りなどが違うのはなぜか、従来の調理法は合理的なのかといったことを考える人は少ない。いくつになっても自ら実験、分析する工学者が科学的に迫る。
──実は専門はパンだとか。
日清製粉の研究所では両方やりましたが、どちらかというとパンで、最も成果が上がったのが生地をこねる研究。こねる工程の研究が少ないので、酵母の表層にオワンクラゲの緑色のタンパク質を移植して目に見えるようにしました。
──ノーベル賞で有名な光るやつ。
可視化できた酵母を入れた生地をこねて凍結、1マイクロメートル単位でスライスし、一枚一枚酵母の分布を調べて3次元化し動径分布関数を求めるという論文を書いたら、日本農芸化学会の論文賞をいただきました。なので、本書の話が来たときも「パンの科学」ならすぐ書けると言ったんです。そうしたら、それはもうあります、って(笑)。著者の吉野精一さんはパンの分野では有名な方で、非常に優秀。彼が書いているなら仕方ないか、と。
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