競争原理の導入で世界一のカジノシティに化けたマカオ。日本でのIR整備で学ぶべきものは。
今年7月に成立した統合型リゾート(IR)実施法は、カジノやホテル、会議場、劇場などを含めたリゾート施設の建設を国内で推進し、訪日外国人誘致の切り札にすることを目指している。そのお手本とされるのが、中国の特別行政区であるマカオだ。今やマカオの1人当たりGDPは日本を大きく上回る。税収増で潤ったマカオ政府は2019年、住民1人につき年間1万パタカ(約14万円)の祝儀をはずむ予定だ。
筆者が初めてマカオを訪れた1980年代当時は、香港から客船に乗り3時間、あるいは最新鋭だったターボジェットで1時間。そうした交通手段もマカオを独占するカジノ王、スタンレー・ホー(何鴻燊)の経営する澳門旅遊娯楽(STDM、マカオ旅行娯楽会社)の関連会社である信徳グループだけが握っていた。
同行の友人はラスベガスを夢見てタキシードを新調してまでマカオに乗り込んだものの、ハリウッド映画に出てくるようなちょい不良(ワル)紳士などどこにもいない。ランニングシャツに半ズボン、ゴム草履姿で、黄色い1000香港ドル札の束をわしづかみにした中国人が発する大音声に恐れをなし、ホテルに逃げ帰ってきた。そのホテルも、STDM直営。当時はまさにホー一族のマカオだった。
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