本当の危機はこれから 日本の金融・財政 集中連載|リーマンショック10年 今そこにあるリスク 第3回
リーマンショック後に世界が始めた量的金融緩和。日本だけが正常化に向かえず、将来の通貨体制や財政を揺るがす事態に発展しかねない。
リーマンショックから10年。“今そこにあるリスク”として最大のものは日本の財政破綻かもしれない──。
2008年、日本の政府債務残高は対GDP(国内総生産)比で183%と、先進国で最悪の水準だった。それから10年を経て何が変わっただろうか。
特集「本当の危機はこれから 日本の金融・財政」の他の記事を読む
瀕死の財政問題に加わった金融政策の危険要素
政府債務残高は相も変わらず増え続け、17年には対GDP比で236%に達した。財政破綻したギリシャをも上回り、先進国で最悪の水準という位置にある点では今も変わりはない(上図)。
だが、決定的に変わってしまった点がある。景気浮揚のため、米欧日の中央銀行は国債などの資産を買い入れ、資金を市場に供給する非伝統的な量的金融緩和を開始。それを突出した規模で行った日本銀行は、金融政策の正常化(保有資産の縮小、金融引き締め)に向かうことが難しくなり、国債購入で政府の財政赤字を穴埋めする「財政ファイナンス」に極めて近い状況に陥ってしまったのだ。
これにより、政府の財政規律は緩み、財政赤字に歯止めがかかりにくくなった。それだけではない。将来、景気変動や経済ショックが起きたとき、日銀の政策が制御不能となるリスクが大きく、財政破綻を早めかねない構造になった。その状況を順に見ていこう。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら