ロシアと中国は近年、「ソフトパワー」と関連づけられる分野に、相当な力を注いできた。ソフトパワーとは米国の政治学者、ジョセフ・ナイ氏が生み出した言葉で、「(文化や政治的価値などの)魅力や説得力をもって他国に影響を与える力」と理解される。ロシアと中国は莫大な資金を投じ、メディアやシンクタンク、学界などを通じて世界的な影響力を拡大しようとしている。
だが、こうした巨額の投資にもかかわらず、また世界的な拡張路線を一段と強めているにもかかわらず、全体主義国家が今もマイナスのソフトパワーに苦しんでいるのはどういうことか。
国際的な世論調査や各種指標では、ロシアと中国はソフトパワーの劣等生に位置づけられることが多い。ソフトパワーに必要な魅力や説得力といった要素は全体主義とは相いれないものだ、とする見方を裏付けている。
とはいえ、ロシアや中国のように力も野心もある独裁国家は、国境を超えた影響力を近年まれに見るレベルまで拡大してきている。しかも、それは軍事力や露骨な経済弾圧といった「ハードパワー」を軸としたものではないのだ。
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