具象化する以前の混沌とした事柄を文章化するきっかけをつかむ技法として、川喜田二郎氏が提唱する「一行メモ」は優れている。〈問題の構造がとらえられたならば、それをさらに圧縮的に、短かい一行の文句もしくは一言で表現することである。こうしたときはじめて、どういう問題が追求すべきものかということが、当事者にもはっきりと浮かびあがってくる。もし問題が個人的な問題だとすると、それをはっきり提起するためには、自分の頭の中を探検しなければならない。それゆえ、この手続きを、かりに「内部探検」と呼んでおこう〉(川喜田二郎『発想法 改版』中公新書、2017年、29~30ページ)。ここで川喜田氏が文学的表現をしている「内部探検」とは、作業仮説を組み立てることだ。頭の中で、いくつかの作業仮説を組み立ててみる。それをノートに書き出してみる。この作業によって、作業仮説の問題が見えてくる。一つと思っていた問題が、実は複数の要因からなる複合問題であることが明らかになる場合も多い。
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